March, 22, 2018, Stanford--無人の自動車が曲がりくねった通りを進み、子供のボールが転がった道路に急旋回しようとしている。自動車の誰もそのボールを見ることはできないが、自動車は止まってそれを回避することができる。これは、その自動車が非常に感度のよいレーザ技術を装備しているからである。この高感度レーザは、対象物の近くで反射し、コーナーを見ることができる。
このシナリオは、スタンフォードの研究者がイメージしている、視界から隠された物体の画像を生成できるシステムの中の1つである。研究チームは、自律運転車両向けのアプリケーションに焦点を当てている。
電気工学准教授、Gordon Wetzsteinは、「魔法のように聞こえるが、非見通し線イメージングという考えは実際に実行可能である」と言う。研究成果は、Natureに発表された。
レーザがコーナーのあたりで跳びはねて物体の画像を捉える方法を開発しているのはスタンフォードのグループだけではない。この研究が進んでいる点は、最終画像を処理するために研究者が開発した極めて効率的で効果的なアルゴリズムにある。
「非見通し線イメージングにおける大きな課題は、隠れた物体の3D構造をノイズの多い計測から回復する効率的な方法を考案することである。この方法の大きな影響は、それがいかに計算効率的であるかというこである」と論文の共著者、院生、David LIndellは説明している。
このシステム用に研究チームは、1個の光粒子でも記録することができる高感度フォトンディテクタの隣にレーザを設置した。研究チームは、人の眼には見えないレーザパルスを壁に放射すると、それらのパルスがコーナー付近で跳ね返り、壁やディテクタに戻ってくる。現在、このスキャンは2分から1時間かかる。これは、照明や隠れた物体の反射性などの条件に依存する。
スキャンが終わると、捉えたフォトンの経路をアルゴリズムが解析し、ぼやけた斑点がはるかに鮮明な形になる。これに要する時間は1秒以下であり、通常のラップトップで極めて効率的に動作する。アルゴリズムの現状の性能をベースにして研究チームは、スキャン完了ともに瞬時に完了するように高速化できると考えている。
研究チームはこのシステムへの取り組みを続けているので、実世界の変動性の取扱が改善され、スキャンがもっと早くなる。たとえば、対象物までの距離や周辺光の量は、その技術が視界から外れた物体の解像に必要な光粒子を見ることを困難にする。この技術は、散乱光粒子の解析にも頼っている。これは、LiDARシステムとして知られるており、現在の車載ガイダンスシステムが意図的に無視しているものである。
ポスドク研究者、Matthew O’Tooleは、「この計算アルゴリズムはすでにLiDARシステムに向けた準備ができている。重要な問題は、LiDARシステムの現状のハードウエアが、この種のイメージングをサポートするかどうかである」とコメントしている。
「このシステムが道路で準備できる前に、昼光でも、また、跳ね回るボールや走り回る子供など、動く物体でも有効でなければならない。研究チームは、この技術の屋外でのテストに成功したが、テストは間接光だけだった。この技術は、安全衣料、交通信号など、特に再帰反射物体を拾い上げる点では良好であった。研究チームによる、その技術が今、自動車に設置されると、その自動車は、道路標識、安全衣類、道路マーカーなどを簡単に検出できる。しかし無反射衣類を着ている人の検出は容易ではないかも知れない。
(詳細は、www.stanford.edu)