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大面積配列制御単層カーボンナノチューブ薄膜の特異な光吸収特性を発見

March, 20, 2018, 東京--首都大学東京の柳和宏教授らは、一方向に配向した単層カーボンナノチューブ(「ナノチューブ」)の大面積薄膜に高密度にキャリア(電子・正孔)を注入制御し、これまで発見されていなかったナノチューブ軸に垂直方向の巨大な光吸収現象を見いだすことに成功した。
 ナノチューブは筒状の一次元物質で、その構造の一次元性を反映したさまざまな面白い物性が理論的に予想されている。従来は、ナノチューブを一方向に並べたり、電子密度を精密に制御したりすることが困難であり、一次元的な性質を大面積の薄膜で発見することはできていなかった。
 研究グループは、一方向に配向したナノチューブの薄膜を作製し、高密度のキャリア注入制御に成功した。その結果、ナノチューブの軸に垂直方向の偏光に応答する巨大な光吸収があることを世界で初めて確認した。
 この光吸収では、1ナノメートル(nm)程度というナノチューブのサイズに極限レベルで閉じ込められた多くのキャリアが同時に光と応答(プラズモン吸収)しており、ナノチューブを用いた量子カスケードレーザの実現にもつながる。また、この薄膜作製やキャリア注入制御技術の発展は、高性能なフレキシブル熱電変換素子の実現にもつながるものである。
 研究は、ライス大の河野淳一郎教授との共同研究であり、研究成果は、Nature Communicationsオンライン速報版で公開された。
(詳細は、www.tmu.ac.jp)