March, 13, 2018, 東京--東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の竹中充准教授らは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超消費電力型光エレクトロニクス実装システム開発」プロジェクトの下、シリコン(Si)光導波路上に化合物半導体を貼り合わせることで、シリコン光スイッチの電力を大幅に削減するなどの高性能化に成功した。
シリコン光集積回路上に光スイッチを網目状に多数集積した万能光集積回路は、人工知能用学習サーバにおける光相互接続スイッチや光演算を用いた深層学習など種々の応用が期待されている。従来のシリコン万能光集積回路においては、主に熱光学効果を用いた光スイッチが用いられていたが、消費電力が大きく、動作速度が遅いことが課題となっていた。この研究では、化合物半導体の一種であるインジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)をシリコン光導波路上に貼り合わせた金属―絶縁膜―半導体(Metal-oxide-semiconductor, MOS)構造を用いることで、光スイッチ動作を得ることに成功。従来の熱光学効果を用いた光スイッチと比較して、消費電力を6ケタ低減することに成功した。1000倍以上高速なスイッチング動作や低クロストーク動作の実証にも成功した。これによりシリコン万能光集積回路の大幅な省電力化、大規模化、小型化、高速化が可能となった。この成果により、光相互接続スイッチを用いた高性能人工知能用学習サーバの発展に寄与することが期待される。また光演算を用いた深層学習など新たなコンピューティングへの展開も期待される。
成果は、2018年3月11日(米国西部時間)に国際会議Optical Fiber Communication Conference (OFC)にて発表された。