March, 5, 2018, New Brunswick--ラトガーズ(Rutgers University)の研究チームは、スマートゲルで「4Dプリンティング」を開発した。これは、人の臓器や組織の「生きた」構造、ソフトロボット、標的薬剤デリバリの開発につながる。
4Dアプローチは、機械・航空工学部のHowon Lee准教授によると、温度変化により形状を変えるハイドロゲルで3D物体をプリントすることに関連している。
Scientific Reortsに発表された研究成果は、高速、スケーラブル、高分解能ハイドロゲル3Dプリンティングを実証している。これは、水を含んでいるが固体のままであり、形状を保っている。ハイドロゲルは、Jell-0、コンタクトクレンズ、おむつ、人体など、われわれの生活のあらゆるところに存在する、とLeeは言う。
スマートゲルは、肺などの臓器に構造的硬直性を提供し、水のような小さな分子を含み、体内で輸送されて放出される薬剤を含むことができる。また、新しい世代のソフトロボットも造ることができ、フレキシブルセンサやアクチュエータ、生体医用デバイスやプラットフォーム、あるいは成長する細胞のスカフォールドなど新しいアプリケーションを可能にする、とLee准教授は説明している。
「これまで、このスマートハイドロゲルの全潜在能力は解放されていなかった。われわれは、それに別の次元を付加した、これはこの規模で誰も達成していない初の成果である。ハイドロゲルは、フレキシブル、形状変形材料である。それをわれわれは、スマート材料と呼ぶ」(Lee)。
研究では、チームは、高速で安価なリソグラフィベースの技術を用いた。これは、広範な材料を3D形状にプリントできる。3D物体を作製するには特殊樹脂の層をプリントする必要がある。その樹脂は、ハイドロゲル、結合剤として働く化学物質、もう1つの化学物質、染料で構成されている。もう1つの化学物質は、光を受けることで結合を容易にし、染料は光の浸透を制御する。
研究チームは、ハイドロゲルの伸縮を精密制御する方法を獲得した。温度が32℃以下で、ハイドロゲルの吸水量が増え、サイズが膨らむ。温度が32℃を超えると、ハイドロゲルは水を放出し収縮を始める。研究チームがハイドロゲルで作製した物体は、人の髪の毛の幅から数㎜超までである。研究チームは、温度を変えることで一面の3Dプリント物体を成長させ、動作を作り出しプログラムできることも確認した。
「形状を完全制御すると、今度はその機能をプログラムできる。それが形状変化する材料の3Dプリンティングであると考えている。この原理は、ほぼどこにでも適用可能である」とLeeはコメントしている。
(詳細は、www.rutgers.edu)