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自律3Dスキャナが個々の製造プロセスをサポート

February, 26, 2018, Waltham--フラウンホーファーIGDは、自律スキャニングシステムをHannover Messeで展示する。
 ビンテージカーのスペアパーツなど、すでに生産されていない部品が必要になると、適切なスペアパーツを見つけるには、よほどの幸運に恵まれなければ不可能である。Industrie 4.0では、こう言うことが変わる。製造は、1つの個別化された生産のバッチサイズの方向に行く。これは、「高度にカスタマイズされた量産」と言われることもある。

新しいスキャナは自律的、リアルタイムに動作
 この種の個別製造はまだ先のことだが、フラウンホーファーコンピュータグラフィクス研究所IGDの研究チームは、1つのバッチサイズという考えを、新しいタイプの3Dスキャニングシステムで、現実に近づけようとしている。「われわれのシステムの特別な点は、自動的、リアルタイムにコンポーネントをスキャンすることだ」とフラウンホーファーIGDのPedro Santosは言う。壊れた箇所のあるビンテージカーのオーナーにとっては、欠損コンポーネントが、接着され、スキャナとともにロボットアームの下にあるターンテーブルに設置されるということである。他の全てのことは自動的に起こる。最小数の掃引で完全な形状を登録することができるようにロボットアームがコンポーネントの周りをスキャナとともに動く。コンポーネントのサイズと複雑さに応じて、これには数秒から数分かかる。すでにスキャンが掃引している間、インテリジェントアルゴリズムがバックグラウンドで物体の3D画像を作る。次に、3D画像の材料シミュレーションが、3Dプリントが関連する安定要件を満たすかどうかを検査する。最終段階で、そのコンポーネントが3Dプリンタを使ってプリントされ、続いてビンテージカーにはめ込み準備完了となる。

長期の学習プロセス不要
 Santosが強調している点は、ここでの実際の成果は、スキャナそのものではなく、自律システム形成計画を前提としたスキャナの組み込みである。この技術もフラウンホーファーIGDにより実現された。最初のスキャンで、物体が可能な限り少ないスキャンで記録できるように、アルゴリズムがさらなるスキャンが必要かどうかを計算する。この方法により、同システムは迅速に独立的に、全く未知の物体を計測することができる。これは他に例のないセールスポイント(USP)である。従来のスキャナは、このようなことの仕方を教えてやらなければならない、あるいはコンポーネントCADモデルを必要とするかのいずれかだったからだ。そうでなければ、スキャナに関連する物体の位置を認識できかなった。品質管理のために車のシートのスキャンをスキャナに教えていたら、量産条件では概ね同じことなので、次の200のカーシートをスキャンすることができる。しかし、従来のスキャナは、1個のバッチサイズを扱う作業には適さない。「対照的に、われわれのスキャンシステムは、設計に関係なく、どんなコンポーネントでも計測することができ、スキャナに教える必要はない。また、CADモデル、テンプレートについての情報も必要でない、要するに、コンポーネントが通常有している標準形の情報は必要ない」とSantosは説明している。

Industrie 4.0製造支援
 このUSPにより、自律スキャナは全く新しい種類のアプリケーションを可能にする。例えば、製造支援として使え、人と機械との間の協力を改善する。この相互関係は、EUが資金を提供する“Autoware”プロジェクトの焦点である。様々なピストン、ケーシング、封止を含むシリンダのアセンブリに関係している。これまでは、シリンダは人手で組み立てており、後の品質制御は印刷されたチェックリストと人手による計測を利用して行われた。「今度、われわれの3Dスキャニングシステムによってロボットがデータベースと比較しながら、その前にどのコンポーネントが来るかを認識し、シリンダのアセンブリで人が次に必要とするのがどのコンポーネントであるかを判断する」とSantosは説明している。加えて、その機械は最終品質制御を行う。シリンダをスキャニングして、寸法が正しいかどうかを検査する。さらなるプロジェクトの一環としてフラウンホーファーIGDの研究チームは、記録とビジュアル化から3D再現までの全チェーンもテストしている。
(詳細は、www.igd.fraunhofer.de)