February, 6, 2018, 東京--産総研と東大の研究グループは、超伝導検出器に関し、1本の読出線上に従来の5倍となる1000画素以上の信号を載せることができる技術を共同開発した。
研究グループは、産業技術総合研究所(産総研)ナノエレクトロニクス研究部門超伝導計測信号処理グループ 山森弘毅研究グループ長、平山 文紀主任研究員、神代暁 研究グループ付と、東京大学(東大)大学院工学系研究科原子力専攻 大野雅史准教授、高橋浩之教授。
超伝導検出器は、単一光子・粒子のエネルギーや微弱電磁波強度の精密計測が可能であり、宇宙から到来する微弱電磁波の長時間・精密観測などに利用されているが、計測時間短縮に必要な多画素化が遅れている。その主因は、極低温の多画素検出器と室温処理装置をつなぐ読出線に載せられる画素数が限られるからである。多画素化のために読出線の数を増やすと、読出線経由の流入熱が増えて冷却装置の強化が必要となり、計測器全体の体積・消費電力・価格の上昇につながる。
今回開発した技術は、複数の室温信号処理装置を並列動作させ、室温処理装置ごとに全画素の情報を異なる周波数帯に変換し、まとめて1本の読出線上に載せるものである。載せられる画素数が飛躍的に増大し、超伝導検出器を用いる分析電子顕微鏡、放射線分光器、光子顕微鏡などの計測時間短縮や、小型化・低消費電力化・低廉化が期待される。
技術の詳細は、Superconductor Science and Technologyに掲載された。
(詳細は、www.t.u-tokyo.ac.jp)