February, 2, 2018, Zurich--光でできた人工結晶をシェイクし、その中の原子に基づいた実験により、量子多体系の物理学に新たな洞察が得られる。これは、将来、データ蓄積技術の開発に役立つ可能性がある。
ストレージデバイスに磁気情報を書き込み、そこから読み出すスピードはは、データキャリアの操作にかかる時間の制約を受ける。このプロセスを高速化するために、研究チームは、固体材料の磁区を切り替えることができる超短波レーザ使用の研究を始めた。この手段が有望であることは証明されたが、基本的な物理学はほとんど分かっていない。これは関連する磁気材料の複雑さに大きく依存する。そこでは、膨大な数の磁気実体が相互作用する。いわゆる量子多体系の研究は恐ろしく難しい。
研究グループのFrederik Görgは、代替アプローチを使い、こうした系に登場する物理学を新しい見方で理解しようとした。この研究成果は、Natureに論文が発表されている。
研究グループは、光でできた人工結晶にトラップした、電気的に中性(だが磁気的である)な原子を使って磁気材料をシミュレートした。この系が、エミュレートするストレージ材料と著しく違っていても、両者は同じ基礎物理原理で支配されている。しかし、固体環境とは違い、例えば、材料の不純物から来る多くの不要な効果は存在せず、系の全主要パラメータは微調整できる。この複雑さと統制度の低減を効果的に利用することで、研究チームは、量子多体系における微視的プロセスをモニタし、系の磁気秩序を強化し、操作する方法を特定することができた。
最も重要な点は、ETH物理学者が、原子が存在する結晶を制御しながら揺らすことで、強磁性と反強磁性秩序として知られる2つの磁気秩序を切り替えることができることを実証した点である。この2つの磁気秩序は、データストレージで重要なプロセスである。この実験で得られた基本的理解は、次世代データストレージ媒体の基盤となる材料を特定し理解する助けになる。