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シリコン量子ドット構造で超高精度量子ビットを実現

December, 25, 2017, 東京--樽茶清悟 理化学研究所 グループディレクター/東京大学大学院工学系研究科 教授、米田淳 理化学研究所基礎科学特別研究員らの研究グループは、シリコン量子ドットにおいて世界最高水準の演算精度をもつ電子スピン量子ビット素子を開発した。
 量子コンピュータは次世代コンピュータの候補として注目され、その情報を担う量子ビットの開発競争が、超伝導素子を筆頭にさまざまなシステムにおいて世界的に激化している。半導体素子を用いた量子ビットの実装は、産業応用の観点から重要である一方で、量子演算速度と情報保持時間の両立が難しく、高性能化が大きな課題となっていた。研究グループは、慶應義塾大学の伊藤公平教授と名古屋大学の宇佐美徳隆教授らが新たに開発した、磁気的雑音の極めて少ない同位体制御シリコン基板を用いて量子ドット素子を作製した。これと特殊な形状の微小磁石を用いた高速スピン操作を組み合わせ、従来の量子ビットに比べて約100倍の演算速度と約10倍の情報保持時間を同時に達成し、量子演算の誤り率の最高値を従来値より約1桁減少させることに成功した。半導体同位体技術を適用したことで、この素子における電子スピンの量子情報喪失は、通常の磁気的雑音ではなく、電荷雑音が支配していることを初めて明らかにした。
 研究成果は、産業集積化に適したシリコン・ナノ構造における超高性能の電子スピン量子ビットの実装方法を確立するもので、今後これを用いたシリコン量子コンピュータ開発の加速が見込まれる。
 研究は、東京工業大学の小寺哲夫 准教授、慶應義塾大学の伊藤公平教授、名古屋大学の宇佐美 徳隆 教授らと共同で行ったものである。
 研究成果は、2017年12月18日にNature Nanotechnologyオンライン速報版で公開された。
(詳細は、www.jst.go.jp)