December, 5, 2017, Zurich--赤、青、緑に感度があるカラーセンサを、モザイクパターンに並べる代わりに、重ねてスタックする。この原理により光に対して前例のない分解能と感度を持つイメージセンサが可能になる。しかし、これまで、現実は、まったく期待に応えていなかった。
スイス連邦物質科学・技術研究所(Empa)とチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)の研究チームは、光をほぼ最適に吸収するセンサプロトタイプを開発した。また、その製造は安価である。
カメラのイメージセンサでは、インテリシェントソフトウエア・アルゴリズムが、個々の色ピクセルから高分解能色画像を計算する。
しかし、その原理に固有の限界がある。個々のピクセルは、受けた光スペクトルの小さな部分しか吸収できないので、光の大部分は失われる。加えて、センサは基本的に微小化の限界に達しており、望ましくない画像の乱れが起こり得る。これらは、色モアレ効果として知られており、最終画像から取り除くには苦労する。
1990年代末に、スタックしたセンサが初めて製造された。それは3つのスタックされたシリコン層で構成されており、その各々が一つの色しか吸収しない。しかし、これは市場では成功しなかった。異なる層の吸収スペクトルが十分に明確でなかったため、緑の一部、赤の一部が青色に感度をもつ層に吸収された。したがって色がぼやけ、光感度は、通常の光センサよりも劣った。
Empaの研究チームは、こうした問題を回避するセンサプロトタイプの開発に成功した。それは、3つの異なるタイプのペロブスカイトで構成されている。ペロブスカイト部品を利用することで、光スペクトルの一部を吸収するが、スペクトルの残りにはトランスペアレントのままである。研究チームは、この原理を利用して、1ピクセルサイズで色センサを作製した。
この新しいアプローチの優位性は明らかである。吸収スペクトルは明確に分離されており、色認識はシリコンの場合と比べると、はるかに高精度である。加えて、特に高波長域(緑と赤)の光成分では、シリコンと比べるとペロブスカイトでは吸収係数が高い。その結果、レイヤは非常に小さくできる、すなわちピクセルサイズを小さくできる。これは、通常のカメラセンサの場合、重要ではないが、他の分析技術、例えば分光学では、これにより著しく高い空間分解能が得られることになる。ペロブスカイトは、比較的安価なプロセスで製造可能である。
(詳細は、www.empa.ch)