November, 16, 2017, Raleigh--ノースカロライナ州立大学(Norhth Carolina State University)の研究チームは、以前の業界標準と比較してマイクロ流体デバイスから一日あたり100倍多くの分光学的情報を収集できる技術を開発した。新技術は、すでに新発見を生み出している。すべての他の変数が同じでも、LEDで使用される量子ドットの材料を混ぜる速度が発光色を変える。
「半導体ナノクリスタルは、LEDディスプレイから太陽電池まで、多様なアプリケーションで用いられる重要な構造。しかし、化学合成を使ってナノクリスタル構造を造ることはやりにくい、小規模でうまく機能するものを直接拡大できない、つまり物理学が機能しない」とノースカロライナ州立大学化学・生体分子工学准教授、Milad Abolhasaniは指摘している。
「この課題から、精密制御マイクロ流体ベースの合成に依存する連続的ナノマニュファクチャリングアプローチに行き着いた。しかし、既存のモニタリング技術の限界から、所定の構造を製造する最良の組合せ見つけ出すために関連のある変数のすべてをテストするのにとても長い時間がかかる、そこで全く新しいプラットフォームを構築することにした」と同氏は説明している。
現在、マイクロ流体モニタリング技術は位置が固定されており、吸収か蛍光か、どちらかをモニタする。蛍光データは結晶の発光バンドギャップの状態、つまり発光色がわかる。これはLEDプリケーションにとって重要である。吸収データからは結晶のサイズと濃度が分かり、これはすべてのアプリケーションに関係している。また吸収バンドギャップも分かる、これは太陽電池アプリケーションにとって重要である。
蛍光と吸収の両方をモニタするためには、2つの別のモニタリングポイントが必要になる。また、場所が固定されているので、化学合成の反応時間をコントロールするためにマイクロ流体チャネルでフローレートを速めたり、遅らせたりすることになる。フローレートが速くなればなるほど、モニタリングポイントに達する前に、サンプルの反応時間はますます遅くなる。昼夜ぶっ通しでモニタしても、このアプローチでは、ラボで集めるサンプルデータは24時間に約300である。
研究チームは、NanoRoboという自動マイクロ流体技術を開発した。この技術では、蛍光と吸収の両方のデータを集める分光学的モニタリングモジュールが、マイクロ流体チャネルとともに移動する、つまりそれに沿ってデータを収集する。同システムは、24時間で30000のデータサンプルを集めることができる。これは、発見、スクリーニング、コロイド半導体ナノクリスタルの最適化を促進することになる。ペロブスカイト量子ドットでは、2桁速くなる。
新しいモニタリングモジュールの並進機能により、そのシステムは、フローレートの変化ではなく、マイクロ流体チャネルの移動に沿って反応時間を調べることができる、つまり研究者の発見に、大きな違いがでる。
NanoRoboにより研究者は反応時間とフローレートを初めて別の変数としてモニタすることができた。マイクロ流体チャネルのサンプルの速度が、結果としてのナノクリスタルのサイズや発光色に影響を与えることをAbolhasaniが初めて指摘した。たとえすべての材料が同じでも、また地の条件のすべて同じでも、より速いレートで動き、混ぜ合わされるサンプルは、小さなナノクリスタルとなる。また、そのことはそれらの結晶が発光する色に影響を与える。
「これは、LEDデバイスでペロブスカイトナノクリスタルの発光波長を調整する一つの方法である」と同氏は話している。