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ナノ粒子を利用して液体をレーザビームの方向に流す

September, 6, 2017, Houston--テキサス州ヒューストン大学(University of Houston)のJiming Baoのチームは、レーザビームを使って液体の流れを作る全く新しい光流体プロセスを開発したと発表した。この技術は、マイクロ流体工学、生物化学、微細加工など、lab-on-chip技術に依存するあらゆるプロセスに広範なアプリケーションがある。
 研究チームは、液体内部に強く集光された液体の流れを生成する方法を発見した。この発見は、驚くべきものである、と研究チームは考えている。
 レーザ光は通常は、水と相互採用しない。ただし、空気など別の媒体の表面では例外である。フォトンは、そのような界面に対して「プッシュ」できるが、運動量伝達は小さく、液体の流動を起こすには弱すぎることは確かである。
 しかし、研究チームは、金のナノ粒子を入れることで 大量の水の内部に水の流れを生成できることを発見した。チームは、容器のガラス壁を通してグリーンレーザパルスを照射し、数分後に、ビームの方向に沿った急速な液体の流れを観察した。
「流れはレーザビームと似た液体のようであり、屈折したビームと同じ方向に動く、あたかもレーザビームのフォトンによって直接駆動されたかのようである。この現象をレーザストリーミングとわれわれは呼んでいる」と研究チームは、コメントしている。
 この現象の決め手はナノ粒子である。水が純水であり、全くナノ粒子が加えられていなければ、レーザビームは流れを起こすことなく、妨げられずに透過する。
 研究の結果、ナノ粒子がグリーンライトを強く吸収することがわかった。緑の光は、粒子が含む電子の共振周波数に近い。
 このため、光の個々のパルスで粒子が加熱され、冷却され、プロセスにおいて拡大と収縮が起こる。それは、水中に音響波を生成する。この種の超音波が、いわゆる音響ストリーミングというプロセスで液体を動かすことは以前から知られていた。
 しかし超音波自体は、液体の動きを保証しない。したがって他の何かが起こらなければならない。研究チームは、容器壁付近のナノ粒子の加熱と冷却により、ナノ粒子がガラスと結合すると考えている。時間の経過とともに、ナノ粒子はレーザが液体に入り込む点の周囲を覆い、これがガラス上で一種のナノキャビティを作る。
 ナノキャビティはこの現象のカギである。驚くような偶然の一致により、キャビティは、覆われたナノ粒子によって生成される超音波を収束する適切なサイズと形状となつている。言い換えると、キャビティは共鳴箱、つまりラウドスピーカーになり、超音波の流れを生成する。液体の流れは、この収束された指向性の超音波によって駆動されると研究チームは考えている。
 ミクロスケールで液体を動かす能力は、あらゆる種類のlab-on-a-chip実験で重要である。また、ナノファブリケーション、レーザ推進でも有用である。