August, 30, 2017, Cambridge--テラヘルツ照射には、医療、産業イメージング、化学検出などに有望なアプリケーションがある。
しかし、その多くは小型でパワー効率のよいテラヘルツ光源に依存しており、テラヘルツ波を生み出す標準的な方法は、大きく、パワーハングリーな卓上型デバイスを必要とする。
20年以上前から、MITの電気工学・コンピュータサイエンス名誉教授、Qing Huのグループは、マイクロチップにエッチングできるテラヘルツ照射源に取り組んできた。同グループと、サンティア国立研究所、トロント大学の研究チームはNature Photonicsに、チップマウントテラヘルツレーザの出力を80%高める新設計を発表した。
最高性能のチップマウントテラヘルツ光源はまだ報告されていないので、NASAは同研究チームのデバイスを、Galactic/Extragalactic ULDB Spectroscopic Terahertz Observatory (GUSTO)ミッションのテラヘルツ源として選択した。同ミッションの目的は、星間媒質の組成、恒星間の宇宙空間を満たす物質の組成を測定することである。また、テラヘルツ線を使用するのは、酸素濃度の分光測定にそれが他に類を見ないほど適しているからである。ミッションは、測定器を搭載したバルーンを地球の高層大気に配置するので、テラヘルツ光源は軽量でなければならない。
研究者の設計は、分布帰還を持つ量子カスケードレーザ(QCL)の新デザイン。
今までは、そのデバイスには大きな問題があった、つまり2つの対立する方向に自然に発光する。テラヘルツ照射のほとんどのアプリケーションは指向性の光を必要とするので、デバイスはエネルギー出力の半分を浪費することになる。研究チームは、通常はレーザの背後から出る光の80%の方向を変える方法を開発し、望む方向に光が出るようにした。
論文の筆頭著者、大学院生Ali Khalatpourの説明によると、設計は特別な利得媒体に結びついたものではない。
「新しい活性媒体を設計することなしにパワーを増やした」と同氏は言う。
テラヘルツ照射波長は非常に長く、研究チームの新しいレーザ、フォトニックワイヤレーザは、非常に小さいので、レーザ長さ方向にを伝搬する電磁波の多くは、実際にはレーザ本体の外にある。レーザの片端ミラーが、波の全エネルギーの微小な部分を反射するだけである。
この問題に対する研究チームのソリューションでは、微小なレーザ設計の特性を活用する。QCLは、長い方形のリッジ、つまり導波路で構成されている。導波路では、材料は電界のアプリケーションが、導波路長に沿って電磁波を誘起するように調整されている。
しかし、この波は定在波である。定在波は本質的に緩慢であり、導波路の外に放射しない。
したがって研究グループは、導波路に規則的間隔のスリットを切り込み、それによってテラヘルツ波は外に放射するようになる。スリットは、放出する波が相互に強め合うように、導波路軸に沿って頂上が一致するような間隔になっている。導波路からの斜角では波は相互に打ち消し合う。
対称性を破る
新しい研究では、研究チームは導波路の各穴の背後にシームレスにリフレクタを置いた、これは導波路自体を作製する製造プロセスにシームレスに組み込める1段階である。
リフレクタは導波路よりも広く、反射する照射が1方向にテラヘルツ波を強めるような間隔になっているが、他方向では相殺する。導波路外に存在するテラヘルツ波には、まだリフレクタを回り込むものがあるが、間違った方向に導波路を励起していたエネルギーの80%は、今では反対に向きが変えられている。
「レーザは、3次分布帰還レーザとして知られる特別なタイプのテラヘルツ量子カスケードレーザであり、これは高品質の出力ビームを生成する最良の方法の1つである」とUCLAの電気・コンピュータ工学准教授、Ben Williamsはコメントしている。
(詳細は、www.mit.edu)