July, 12, 2017, Gaithersburg--NIST研究所、NISTのエンジニアリングラボラトリ(EL)および物理計測ラボラトリ(PML)の研究チームは、積層造形(AM)計測テストベッド(AMMT)を構築した。これは、AMプロセスの理解向上のために使用することができる特注3Dプリンタである。目標は、プロセスを詳細に理解し、ユーザがリアルタイムでプロセスをモニタするために必要なツールを実現することである。
NISTが設計した3Dプリンタテストベッドは、小型車程度のサイズで、このタイプの多くの商用AMシステムと同じように機能する。機械的アームは、金属粉末の薄い、均一な層を平坦な金属プレート面に塗布する。次にハイパワーレーザビームが、製造されるピースに必要なパターンでこの金属表面を動く。レーザが粉末を溶かし、短時間で液化し、すぐに冷えて固化する。レーザが完了すると、新しい粉末層が供給され、そのプロセスが繰り返される。
最後に、ピースの下あるいは内部にできる、余分な粉末が除去され、独立した最終的な金属物体ができる。現在、装置は、商用AM装置で一般的な3種の金属を使用するように設定されている。ステンレス鋼、コバルト・クロム、ニッケル合金。
商用システムと異なり、NISTのテストベッドでは研究者がシステムを完全にコントロールする。Brandon Laneによると、商用システムはいささか「ブラックボックス」である。「一定のレーザパワーと速度を制御できるが、プロセスの1マイクロ秒を制御できるわけではない。NISTのシステムでは、レーザの速度とパワーを100kHz、つまり10マイクロ秒ごとに制御できる」。テストベッドを設計し構築したのはBrandon LaneとEL、PMLの研究チーム。ELが主にシステムでテストを行い、PMLの研究者がプロセスの計測、キャリブレーションおよび国家標準へのトレーサビリティ用センサを供給するために作業してきた。
AMプロセスの問題の多くは溶融中に起きるので、NISTのチームは、レーザが粉末を加熱している間に、溶けた金属液体のプール、いわゆる「溶融プール」の温度を正確にモニタする方法を見出す必要があった。この場合、その温度を計測する最良の方法は、戻り光の特性を計測することである。物質は加熱されると、熱さの程度に応じて色が異なる。溶岩が深紅であり、太陽が黄白色である理由である。
現在、輝度の計測を設定しようとしており、これは多くのAMユーザにとって役立つ可能性がある。「ユーザは、相対計測のみを必要とするかもしれない、つまり溶融プールの変動の相対的観察である」とLaneは言う。しかし究極の目標は、そのような相対計測を絶対計測に転ずること。つまり、溶融プールの実際の温度を計測する方法として輝度や他の特性を使用する。これをするために、PMLスタッフはシステムの特性を明らかにし、標準によって完全にキャリブレートされた光強度センサを保証する必要がある。
「最終的に、幅広い波長で、表面の完全温度マップを手に入れたい」とLaneは言う。400nm程度の青色から、10µmまでの中赤外まで。
現在、研究チームは、特殊設計の色収差補正レンズを持つカメラを使って、最終的に必要な波長の一部をカバーするプールの輝度を計測している、赤色から850nm程度の近赤外光までである。「しかし、さらに高温で、もっと青くなり、短波長化すると、それは問題になる。したがって、実際には、それを計測するために、別の診断法を利用することになる」。
研究チームが追加するセンサシステムは、次の一年半で、Temperature and Emittance of Melts, Powders, and Solids (TEMPS)というものになる。多くの機能のうち、そのシステムは半球形状の反射率計を含んでおり、これによって溶融プールからの反射戻り光の情報を収集できることになる。反射率計によって、溶融プールの放射率、時間的に変化するその温度をマッピングできるようになる。TEMPSは、分光計を含んでおり、可視光全域と10µmまでの波長のIRスペクトルを計測できる。
(詳細は、www.nist.gov)