June, 30, 2017, Providence--ブラウン大学(Brown University)の研究チームは、新しい種類の光音響効果を使って1000兆分の1(ppq)レベルで微量ガスを検出する方法を開発した。光音響は、光と分子が相互作用する際に生まれる音を計測する技術。
ブラウン大学化学教授、Gerald Dieboldによると、光音響効果は、これまでのところ、検出しようとする分子のレベルが1兆分の1レベルになると、信号が弱くなりすぎて検出できない。「われわれは、信号を増幅する新しい光音響技術を開発した。これにより、記録的な1000兆分の1(parts-per-quadrillion)が可能になる」。
光音響効果は、光ビームがガス、液体、固体に吸収されて、それが広がるときに起こる。膨張は、音波を生ずる機械的な動きである。
光音響ディテクタは、関心のある分子によって吸収されるように波長を調整したレーザで物質をザッピングすることで機能する。一般的な光音響実験では、生成されるどんな音でも聞き取れるような感度の良いマイクロフォンで検出可能な周波数でレーザビームをON/OFFする。異なる分子は、異なる別の周波数で光を吸収するので、レーザの周波数を調整することで、特定の物質のディテクタを微調整することができる。例えば、空気中にアンモニアを探すためには、レーザは、アンモニア分子の特定の吸収周波数にチューニングされる。次に、空気サンプルをザッピングし、マイクロフォンが音波を拾うと、そのサンプルがアンモニアを含んでいることになる。
しかし、目標とする物質の濃度が小さくなればなるほど、信号はますます弱くなる。したがって研究チームは、信号振幅を増幅するこれまでにない技術を利用した。
Dieboldによると、研究チームは、3つの異なる共鳴を利用する方法を考案した。
単一のレーザビームの代わりに、研究チームは特定の周波数と角度で2つのビームを結合する。結合したビームはグレーティング、つまり2つのビーム間の干渉縞を形成する。レーザ周波数が適切に調整されると、グレーティングは検出セルの中で音の速度で動き、グレーティングの個々のピークで増幅効果を生み出す。
第2の共鳴は、実験で使用される圧電結晶で作られる。これは、結合したレーザビームの周波数で正確に振動する。圧力波の中の小さな圧縮力が結晶内に運動を誘発する。
第3の共鳴は、結晶がマウントされているキャビティ長を調整することで作られる。音の半波長の整数が正確にキャビティ長と一致するときに共鳴が起こる。振動に比例して電圧を生成する圧電結晶の出力はアンプと、感度の良い電子デバイスに送られ、音響信号が記録される。
実験では、研究チームは、その3つの共鳴を使うことで六フッ化硫黄を1000兆分の1の量まで検出することができることを示した。
(詳細は、www.brown.edu)