June, 28, 2017, Cambridge--MITの研究チームは、電気の代わりに光を使って、「ディープラーニング」コンピュータへの新たなアプローチを開発した。研究チームによると、一定のディープラーニングコンピューテーションのスピードと効率が著しく向上することになる。
Marin Soljačić教授によると、これまでに提案された多くのフォトニックコンピュータの利用は実用的でないことが明らかになっているが、同教授らのチームが開発した光ベースの神経ネットワークシステムは、一定のアプリケーションで、ディープラーニングに適用できる可能性がある。
従来のコンピュータアーキテクチャは、ある重要な神経ネットワークの作業のための計算になると、あまり実用的ではない。そのような作業は一般に、行列の繰返し乗算を必要とするが、これは従来のCPU、GPUチップでは非常に計算集約的になる。
数年の研究の後、MITチームはこのような操作を光で行う方法を考案した。「このチップは、一度調整すると、行列乗算を原理的にゼロエネルギーで、ほぼ瞬時に行うことができる。われわれは、重要なビルディングブロックを実証したが、まだ完全システムではない」とSoljačić教授はコメントしている。
新しいアプローチは、光ビームの波が相互作用するように方向づけられた多数の光ビームを使い、意図した操作の結果を持つ干渉縞を生成する。結果としてのデバイスを研究チームは、プログラマブルナノフォトニックプロセッサと呼んでいる。
ポスドクYichen Shen氏によると、このアーキテクチャを用いる光チップは原理的に、一般的な人工知能(AI)アルゴリズムで行われる計算を実行するが、従来の電子チップと比較して著しく高速であり、動作当たりのエネルギーは1/1000以下である。「行列演算に光を使う利点は、スピードと省エネに大きな役割を果たすことである。稠密な行列演算は、AIアルゴリズムでは、最も電気を食い、時間も消費する部分だからである」。
新しいプログラマブルナノフォトニックプロセッサは、Dirk EnglundラボでNicholas Harris氏のチームが開発したものであり、これは導波路アレイを使用する。導波路アレイは、必要に応じて変更できるように相互接続されており、特殊な計算向けにビームをプログラムできる。
プロセッサは、結合された一連の光導波路を通して光をガイドする。研究チームの完全提案では、デバイスのインターリーブ層が必要になる。これにより、脳のニューロン動作と類似した、非線形活性化機能が可能になる。
そのコンセプトを実証するために、研究チームはプログラマブルナノフォトニックプロセッサを、4つの基本母音の認識ができる神経ネットワークを実行できるように設定した。この基本的なシステムでさえ、77%の精度レベルを達成した。従来システムでは、約90%である。Soljačić教授によると、システムをもっと高精度化するための「大きな障害は全く存在しない」。
(詳細は、www.mit.edu)