June, 1, 2017, Ithaca--コーネル大学(Cornell University)の応用・工学物理学准教授、Jeffrey Mosesの研究チームは、強い中赤外(mid-IR)光パルスを生成し成形するプロセスを開発した。
中赤外波長は、材料科学者、化学者、生物学者、凝縮物質物理学者にとっては特に重要である。先頃、高パルスエネルギー、超短中赤外光源の出現が非線形光-物質相互作用の新たな領域を開き、最大帯域という特徴だけでなく、パルス成形の任意制御を特徴とする中赤外光源の達成が大きな関心を集めている。
短時間現象分析の1方法は、ポンプ-プローブ分光法である。レーザ光の最初のビームが「ポンプ」として働き、材料に所望の反応を引き起こす。2番目が「プローブ」であり、反応の分析に使用される。
このような事象を捉えることができる短パルス光を生成するためには、光はIRスペクトル内に広範囲の周波数を含んでいなければならない。周波数の範囲が広ければ広いほど、一層短いパルスを作ることができる。
しかし問題は、特定の目的に合わせて光を成形する際に、帯域を失うことである。この問題を克服するために研究グループは、ブロードバンド近赤外光パルスを生成し成形し、その波長を帯域と形状を維持しながら、中赤外に変える方法を開発した。実際、近赤外波の相対帯域(その波長で達成可能な最小幅と比較してパルスをいかに短くできるかという計測)は、中赤外波に変換すると効果的に増加する。
結果的に、パルスは波の周期の単一サイクルだけ持続する、これは本来許容される最小値に極めて近い。
研究グループの特に関心のあるアプリケーションは、人の視覚などの系で電子エネルギーの流れ方の追跡である。網膜のロドプシン分子は、光を吸収し、次に形を変える、湾曲からストレートに変わる。視覚神経から脳に信号を送る働きをするのはこの真っ直ぐに伸ばす矯正である。
「これら分子の電子配列の変化が、数10フェムト秒で起こる。その超短時間周期で起きていることについて、もっと多くの情報を得るための適切な光源を手にしたとわれわれは考えている」(Moses)。
さらにMosesは、「このツールを使って、分子が光に反応する仕方に関与する、この種の構造の研究のための方法を開発しようとしている」とコメントしている。
(詳細は、www.cornell.edu)