May, 18, 2017, Munich--ミュンヘン工科大学(TUM)の研究チームは、WiFiトランスミッタの放射を描画して周辺環境の3D画像を生成するホログラフィックイメージングプロセスを開発した。産業設備のオペレータは、これを使って製造現場を動く対象物を追跡することができる。
ホログラムは、ちょうどのぞき窓のように、3Dに見える画像を投影する。光学ホログラムは精巧なレーザ技術を必要とするが、WiFiトランスミッタのマイクロ波放射で生成するホログラムは1つの固定アンテナと1つの移動アンテナが必要なだけである。
「この技術を使って、WiFiトランスミッタ周辺空間に3D画像を生成することができる、まるでわれわれの眼がマイクロ波放射を見ることができるようである」とDr. Friedmann Reinhardは説明している。研究チームは、特にindustry 4.0の領域でフィールド導入を考えている。この分野では、自動化された産業施設で、パーツやデバイスを見つけ出すことが難しいことがある。
これまでは、マイクロ波放射から画像を生成するには、広帯域の特殊目的のトランスミッタを必要とした。ホログラフィックデータ処理を利用するには、研究チームにとって、2.4GHz、5GHzで動作する一般的な家庭内のWiFiトランスミッタで十分であった。Bluetoothや携帯電話信号でも使用することが可能である。これらの機器の波長は、数センチの空間分解能に対応している。
「移動アンテナを使う代わりに、多数のアンテナを使ってビデオライクな画像周波数を得ることができる」と実験を行った、Philipp Hollは説明している。「将来のWiFi周波数は、提案されている60GHz IEEE 802.11標準がミリメートルレンジの分解能を可能にする」。
画像処理でよく知られた光学的方法をWiFiホログラフィにも導入可能である。一例を挙げれば、顕微鏡で使用されている暗視野法は、弱い回折構造の認識を改善する。さらなる処理は、白色光ホログラフィで行う、ここでは残りのWiFiトランスミッタのわずかな帯域を使って、散乱放射からノイズを除去する。
光学画像のようにマイクロ波ホログラムを扱うというコンセプトでは、マイクロ波画像は、カメラ画像と結合できる。マイクロ波画像から抽出した付加的情報をスマートフォンのカメラ画像に埋め込み、例えば遺失物に浸けた無線タグを追跡する。
研究チームの考えでは、その技術がさらに進歩すると、雪崩あるいは壊れたビルの下に埋まった犠牲者の発見にも役立つ。従来の方法は、犠牲者を点として発見するだけであるが、ホログラフィック信号処理により壊れた構造の空間的描写ができるので、最初の応答者は重い物体周辺をナビゲートし、がれきの中の空洞を利用して、犠牲者に素早く到達する最も簡単なアプローチを手順良く明らかにすることができる。
(詳細は、www.tum.de)