May, 17, 2017, Washington--ガンの内視鏡診断への重要ステップで、ハンドヘルドファイバオプティックプローブが開発された。これは、組織染料を用いることなく、多くの非線形イメージング技術アプリケーションで使用できる。新しいマルチモーダルイメージングプローブは、超高速レーザを使って組織に非線形光学効果を作り、ガンや他の病気を明らかにすることができる。
今日、ガンの診断は一般に生検で組織の一部を採取し、その組織を特別に訓練した病理学者に送り、病理学者がその組織を染色し、顕微鏡を使ってガン細胞を探す。医師が生検をとばしてマルチモーダル内視鏡を使ってその場でガンを診断できると、貴重な時間の節約になり、また手術中にガン組織と健全組織の区別も容易にできるようになる。
新しいプローブでは、これまで大きな卓上計測器を必要としていたイメージング技術は、直径わずか8㎜、ボールペン程度のサイズのハンドヘルドデバイスの計測で行うことができる。さらに微小化すると、プローブは内視鏡に簡単に組み込め、体内で非線形マルチモーダルイメージングが可能になる。
ハンドヘルドマルチモーダルイメージングプローブは、同時にいくつかのタイプの画像を取得できる。コヒレントアンチストークスラマン散乱、SHGと二光子励起および自己蛍光である。これらの非線形イメージング技術は、臨床診断に有用であることが実証されている。これはにガン細胞の特定も含まれる。しかし体内で使用するために必要な微小化が難しい。
プローブのサイズ縮小は、レーザ光集光にGRINレンズを使用することにより実現された。複雑な形状の表面を使って集光する従来の球面レンズと比較すると、GRINレンズは、レンズ材料内で屈折率が連続的に変わることで集光するので、非常に小さくできる。研究チームは、Grintech Gmbhと協力して、GRINレンズを直径1.8㎜に設計し、小型アルミハウジングにアセンブリした。
非線形イメージング用に設計された内視鏡は可動ミラーと電気機械デバイスを使ってプローブヘッドで一点一点レーザ掃引する。マルチコアイメージングファイバを使用することで研究チームは、レーザスキャニングプローブヘッドから取り出してサンプルサイトから遠ざけることでデバイスのサイズをさらに縮小できた。ファイバの数千の光ガイド素子、つまりコアが、ファイバ両端間で光の空間的関係を維持するので、スキャニングは反対側のファイバ端で行え、内視鏡アプローチは著しく容易になる。
「他の内視鏡非線形イメージングアプローチと比較してわれわれのファイバプローブは、簡便さで傑出している。プローブヘッドに可動部分が組み込まれていないので、オプティクスのミスアライメントの可能性は限られており、プローブの全般的な寿命は長くなる」とライブチッヒフォトニックテクノロジー研究所、論文の筆頭著者Jürgen Popp氏はコメントしている。
(詳細は、Paper: A. Lukic, S. Dochow, H. Bae, G. Matz, I. Latka, B. Messerschmidt, M. Schmitt, J. Popp, “Endoscopic fiber probe for nonlinear spectroscopic imaging,” Optica, Volume 4, Issue 5, 496-501, (2017).
DOI: 10.1364/optica.4.000496)