March, 6, 2017, San Diego--カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームは、フォトニックデバイスの信号損失を低減する材料を開発した。この成果は、光通信システム、レーザ、太陽電池を含む様々な光ベース技術の効率を高める潜在力がある。
この発見はフォトニクス分野の最大課題の1つに対処するもので、プラズモンメタマテリアルとして知られるデバイスで光信号の損失を最小化する。
プラズモンメタマテリアルは、独特の方法で光をコントロールするためにナノスケールで設計された材料である。隠れ蓑から量子コンピュータまで、新奇デバイス開発に使用できる。とは言え、メタマテリアルの問題は一般に、光からのエネルギーを吸収してそれを熱に変換する金属を含んでいることである。その結果、光信号の一部が浪費され、効率が低下する。
UCSDの研究チームによる最近の研究は、発光するもの、半導体をメタマテリアルに組み込むことでこうした損失を補う方法を実証した。
研究チームの電気工学ポスドク研究者、Joseph Smalleyは、「金属に半導体からの利得を導入することで損失を相殺する。この理論的な組み合わせが、信号の正味ゼロ吸収、つまりロスレスメタマテリアルになり得る」と説明している。
実験では、赤外レーザ光をメタマテリアルに照射。光がどの方向に偏向しているか、つまりどの面または方向(上下、横から横)に全ての光波が振動を始めるかによって、メタマテリアルは光を反射するか、放出するかのいずれかにある。
「これは、同時に金属と半導体として振る舞う初めての材料である。光がある方向に偏向していると、メタマテリアルは金属のように光を反射する、別の方向に偏向していると、メタマテリアルは、半導体のように別の色の光を吸収し放出する」とSmalleyは説明している。
研究チームは、まず半導体材料(InGaAsP)の結晶を基板に成長させて新しいメタマテリアルを作製した。次に、プラズマからの高エネルギーイオンを使って半導体に狭い溝をエッチングし、40nm幅の半導体列を40nm間隔で作製した。最後に、溝を銀(シルバー)で埋めて半導体と銀のナノサイズのストライプを交互に作製した。
Smalleyによると、これはこの種のメタマテリアル作製の独自の方法である。異なる層を持つナノ構造は一般に、各層を別々に他の層に重ねて成長させることで作製する、「机上の紙のスタックにように」である。しかしこの研究で使用された半導体材料(InGaAsP)は、どんな(銀のような)基板上にも成長できない、成長させれば欠陥を持つことになる。「交替層のスタックを造るのではなく、われわれは材料を、ファイリングキャビネットのフォルダーのように、並列配置する方法で作製し、半導体材料に欠陥が生じないようにした」。
次のステップでは、このメタマテリアルやその別のバージョンが、現在信号損失の影響を受けているフォトニックアプリケーションをどの程度改善するかを研究することを計画している。