February, 7, 2017, 東京/神奈川--神奈川工科大学(KAIT)は、情報通信研究機構(NICT)が主催する“さっぽろ雪まつり”実証実験で、札幌-大阪間の複数経路の200Gbps広帯域回線を用いて、8K超高精細ライブ非圧縮映像と8K超高精細CG映像のリアルタイム生成映像から構成される100Gbps超の大容量のストリームデータを札幌から大阪会場までマルチレーン同期化技術を用いて遠隔配信する実験に成功した。
KAITは、NICT、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)、エヌ・ティ・ティ アイティ(NTT-IT)、PFU、アストロデザイン、池上通信機と共同で、世界初の試みとして、2017年2月にNICTが主催したさっぽろ雪まつり実証実験において、札幌-大阪間の複数経路から構成される200Gbpsの広帯域回線を用いて、8K(7680×4320画素・ハイビジョンの16倍)超高精細ライブの非圧縮映像と大阪と大学の2拠点の演者のモーション情報からリアルタイムに生成した8K対応のCG映像を用いて、複数素材を同期化し、100Gbps超の大容量ストリームデータとして配信する実験を行った。
今回用いた回線は、NICTが運用するテストベッドネットワークJGNの実験回線環境と、NIIが運用する日本の学術情報ネットワークSINET5が連携して実現した環境。また今回伝送に用いた8K非圧縮フォーマットは、従来用いた8K-DG(デュアルグリーン)フォーマットに代わり、映像業界で利用が本格化される8K フル映像(YUV4:2:2 10bit)のフォーマットを用いた。同フォーマットは、1素材あたり48Gbpsの帯域を必要する。
今回の実験では、JGNの国内100Gbps基幹回線に加え、国立情報学研究所が構築・運用する学術情報ネットワークSINET5が実証実験に参加することにより、北海道から大阪まで複数経路による200Gbpsの容量を持つ広域ネットワークを構築した。KAITの情報学部情報ネットワークコミュニケーション学科丸山充教授、岩田一助教を中心とするチームは、札幌から、複数の8Kカメラと高臨場音声情報を含む8K超高精細ライブ非圧縮映像に加えて、リアルタイムに生成した8K対応のCG(コンピュータグラフィックス)映像から構成される100Gbps超の大容量ストリームデータを用いて、32レーン(3Gbps/レーン)に分割して配信するマルチレーン同期配信を行った。
利用した8K非圧縮フォーマットは、従来の8K-DGの2倍の帯域が必要な、8Kフル映像(YUV4:2:2 10bit)のフォーマット(48Gbps)を用いた。実験では、2素材を完全に同期化して大容量のストリームデータとして用いており、ネットワーク上での伝送容量IPプロトコルのオーバヘッドを加えると約109Gbpsになる。さらにKAIT、大阪展示会場等の4箇所へ4K非圧縮映像4K30P(IPオーバヘッドを加えて6.4Gbps)のマルチキャスト配信を行っている。
またこの環境を用いて、KAITの先進技術研究所第2プロジェクト小島一成准教授は、複数拠点のモーションキャプチャ(光学式、慣性式)を使った8K映像制作の取り組みを行った。大阪の展示会場内では慣性式モーションキャプチャのボディスーツを着用した演者の動きを、データとして札幌のサーバにモーションデータストリーミングする。同時に、KAITで行う光学式モーションキャプチャのモーションデータストリーミングと合わせて、2体のCGキャラクタの動きとしてアニメーションを生成し、背景映像と共にリアルタイムレンダリング処理を実施した。この計算結果が8Kフル映像フォーマットとして出力される。これを、8Kカメラ映像と完全同期化して大阪までリアルタイム伝送した。大阪の演者はリアルタイムにレンダリング結果を確認でき、CGを用いた番組制作に有効なプレビジュアライズ(プレビス)環境を遠隔地間で非圧縮8Kの超高精細品質で実現したことになる。
ネットワーク上でのリアルタイム暗号配信状況の把握や映像素材のネットワーク上の安定的な配信を実現するため、高精度なネットワーク計測技術と8K映像トラヒックメータを併用して、回線の伝送状況を実時間で観測する実験を行っている。
(詳細は、www.kait.jp)