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宇宙からLiDARで地球極地のプランクトンサイクルを観察

January, 31, 2017, Hillsboro--地球を回るNASAのサテライト計測器を使った新しい研究で、極地食物網における小さな環境変化が植物プランクトンの急増と激減サイクルに大きく影響することが分かった。この研究成果は、生態管理、商業漁業、地球の天候と主要海洋生態系との間の相互作用理解のための重要データを供給する。
 植物プランクトンは、地球の炭酸ガスサイクルにも影響する。光合成を通じて、植物プランクトンは上部海洋から放出される大量の二酸化炭素を吸収し酸素を発生させる、これは地球の生命にとって極めて重要である。これにより、大気中の二酸化炭素量が減少する。
 沿岸経済や野生生物は、海洋植物連鎖の基盤であり、植物プランクトンに起こることに左右される。商業漁業、海洋哺乳類や鳥などすべてが植物プランクトンの増殖に依存している。新しい研究は、植物プランクトンが、それを捕食する動物の増加を追い越すことによって成長率が加速することを示している。このとき、植物プランクトンの数は急速に増加する。
 しかし、成長の加速が止まると、捕食動物が海洋植物を食べることで追いつき、増殖が終わる。この新しい理解は、従来の理論に合致しない。従来理論では、植物プランクトンの成長率が急成長の所定しきい値を超える時にのみ増殖が起こり、成長率が落ちて再びそのしきい値を下回るときにプランクトンの増殖は終わる。
 2006年に打ち上げられた人工衛星Cloud-Aerosol Lidar and Infrared Pathfinder Satellite Observation (CALIPSO)に搭載された測定器、NASAのCloud-Aerosol LIdar with Orthogonal Polarization (CALIOP)は、レーザを使って計測する。研究チームは、それを使って2006-2015年まで極領域のプランクトンを継続してモニタした。
 海洋の生態系は一般に、人工衛星のセンサでモニタされる。これは、海洋から宇宙に反射して戻ってくる太陽光を計測するだけである。このような測定器は極領域の海洋プランクトンを観察する上では問題がある。太陽光が限られており、絶えず雲が存在するために海洋面が覆い隠されるからである。LiDARは、レーザを照射し、昼夜問わず、雲があっても、曇っていてもプランクトンに光を当てて計測することができる。
 捕食動物と捕食とのこの絶えざる綱引きの年ごとの変動が、過去10年の北極のプランクトンストックにおける変化の主因であったことも研究によって分かった。南極周辺の南洋では、覆っている氷の変化は、成長率と捕食の差よりも、プランクトン数の変動にとってはもっと重要だった。
「重要なことは、食物網や極システム全体を理解したいなら、捕食動物と捕食とのこの微妙なバランスを調整する生態系の変化とアイスカバーの変化の両方に注力しなければならないと言うことである」とオレゴン州立大学の海洋プランクトンの専門家、Michael Behrenfeld氏は説明している。
 現在のCALIOP LiDARは、大気計測用に設計されており、海洋計測に最適化されていない。とは言え、この研究成果で実証されたように、CALIOP海洋計測は科学的に価値がある。
 新しいLiDAR技術がテストされている。これによって研究者は、海洋の透光層を通してプランクトンがどのように分布しているかをよりよく計測できるようになる。この新しい能力は、プランクトン濃度と光合成の知見を改善し、植物プランクトン増殖の原因について明らかにすると考えられる。この知見は、海洋の炭素循環の理解にとって、また地球の海洋生態系の健全性の決定と管理にとって極めて重要である。