January, 12, 2017, Espoo--アールト大学(Aalto University)の研究グループは、可視光で動作し、いわゆるダークラティスモードを利用するプラズモニックナノレーザを初めて開発した。
このレーザは人の髪の毛の1/1000の長さで動作する。そのような小さな寸法に捉えられた光の寿命は極めて短く、光波が振動するのはわずか数10回あるいは数100回である。この成果は、レーザなど、極微小にして超高速のオンチップコヒレント光源に新たな可能性を開く。
この研究のレーザ動作は、周期的アレイに配置された銀ナノ粒子をベースにしている。従来のレーザは、発振信号のフィードバックは通常のミラーによるが、これとは異なり、このナノレーザは銀ナノ粒子間の放射結合を利用する。この100nmサイズの粒子は、微小なアンテナとして機能する。高強度レーザ光を作製するために、粒子間の距離を発振波長と一致させ、アレイの全ての粒子が同時に放射するようにした。有機蛍光分子を用いて、発振に必要な入力エネルギー(ゲイン)を印加した。
このようにして発振を達成するための大きな課題は、そのように小さな寸法に光が十分に長く存在しないことである。研究チームは、この潜在的な問題に対して巧妙な方法を発見。ダークモードによるレーザ発振である。
「ダークモードは、通常のアンテナを考えれば直観的に理解できる。単一のアンテナは、電流で駆動すると、強く放射するが、2つのアンテナは、反対方向の電流で駆動し相互に接近させていると、放射は極めて少ない」とアカデミー教授、Päivi TÖrmä氏は説明している。
さらに同氏は「ナノ粒子アレイのダークモードは、各ナノ粒子において同じような逆相電流を誘導するが、今回は可視光である」と話している。
Ph.D.学生、Heikki Rekola氏によると、ダークモード発振では根本的に光がナノ粒子アレイに捉えられたままになるが、研究チームは光の逃げ道を見つけた。「アレイのエッジ方向に向かってナノ粒子はますます通常のアンテナのように動作し始め、外に発振するようになる」。
研究チームは、国立OtaNano研究インフラストラクチャのナノファブリケーションファシリティとクリーンルームを使用した。研究成果は、Nature Communicationsに発表されている。