Science/Research 詳細

NIST、ロボットアーム用光学トラッカーの動的評価ツールを実現

December, 5, 2016, Gaithersburg--NISTをリーダーとする研究チームは、光学トラッキングシステムが対象の位置と方向、すなわち「姿勢」を6自由度、上下、右左、前後、ピッチ、ヨーとロールでいかによく規定するかを評価する新たな標準テスト法を作成した。
 光学トラッキングシステムは、人の立体視覚と同じような原理で機能する。人の両目は、両方がいっしょに周辺物を取り込み、その空間内の人やモノの全てが存在する場所を正確に脳に伝える。光学トラッキングシステムでは、「両目」は2つ以上のカメラからなり、部屋を記録し、そのエリアの対象物に信号、赤外、レーザあるいはLiDARを跳ね返らせるビームエミッタと組になっている。データをコンピュータに送り、部屋とその内容物が実質的に再構成される。
 物の姿勢を判定することは、それが動かなければ比較的容易である。しかし無人搬送(AGV)フォークリフトの操縦に使うようなシステムでは、不十分である。その「視覚」は、効率的かつ安全にAGVが確実に動作するために、静止物と動くものの両方に対して20/20でなければならない。この要求に対処するために、最近承認されたASTM国際標準(ASTM E3064-16)が光学トラッキングシステムの性能評価のための基準テスト法となる。このようなトラッキングシステムは、6つの自由度で静的、動的物体の姿勢を計測する。
 NISTのエンジニアは、新標準で使用されるツールと手順の両方の開発に手を貸した。「ツールは、2つのバーベルのような加工品であり、これを使って光学トラッキングシステムがテスト中に位置を示す。両方のツールは中心に300㎜のバーを持っているが、片方はそれぞれの端に取り付けた6つの反射マーカーを持ち、他方は2つの3D形状の立方8面体を持つ」とNISTエレクトロニクスエンジニア、Roger Bostelmanは説明している。光学トラッキングシステムは、両方のターゲットの全姿勢を計測できる。
 研究チームのNISTコンピュータ化学者、Tsai Hongによると、評価機を2つの既定路、つまりテストエリアの上下、もう一方は左と右に動かし、それを経路に対してピッチ、ヨー、ロールを与えるように3方法で回転させてテストを行った。「テストベッドには、部屋中に赤外エミッタを設置した12台のカメラがあるので、動作中のツールを追跡し、多点でその姿勢を判定することができる。また反射マーカーあるいはツールの不整形が300㎜離して固定されていることが分かっているので、その姿勢間の計測距離を極めて正確に計算し比較できる」とHongはコメントしている。
 Bostelmanによると、その新基準は、光学トラッキングシステムが、前例のない正確さで対象物を3D空間に見つけ出す能力を評価できる。「静的能力評価では誤差の範囲は0.02㎜、動的性能では0.2㎜であることを確認した」。
 ロボットとともに光学トラッキングシステムは、様々なアプリケーションの中核にある。例えば飛行/医療/産業トレーニングの仮想現実、映画制作におけるモーションキャプチャプロセス、イメージガイド外科ツールなどである。「新しいツールは、光トラッキングシステムがどんな状況でうまく動作するかを評価する、共通の測定基準、高信頼で実装しやすい手順を提供する」とHongは説明している。