November, 17, 2016, 東京--東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の河野行雄准教授らの研究グループは、カーボンナノチューブを利用したフレキシブルなテラヘルツ帯撮像デバイス(カメラ)を世界で初めて開発した。このデバイスを用い、注射器やペットボトルといった360度歪曲した物体に対しても、内部の破損・異物混入を瞬時に撮像することに成功した。また人体に装着したまま画像観測を行うためのウェアラブルデバイスも製作した。
電極金属の最適化やイオン液体を用いたpn接合などの新手法を用いて検出器の小型化・集積化・高感度化を達成、多素子化による撮像カメラを実現した。これはテラヘルツ帯技術の実用化に近づく成果といえる。
テラヘルツ波は電波と光波の中間の周波数帯の電磁波で、様々な応用が期待されている。河野准教授らは以前、カーボンナノチューブにおける光熱起電力を用いたテラヘルツ波検出器を作製したが、小型化に伴う感度低下が問題となっており、多素子化によるカメラ開発が困難であった。研究は日本ゼオン株式会社の試料提供を受けて実施。研究成果は「Nature Photonics」誌に掲載された。
(詳細は、www.titech.ac.jp)