November, 9, 2016, Santa Barbara--UCSBの研究チームは、微量の遷移金属不純物がGaN半導体の再結合中心として働くと警告している。
最先端の第1原理計算を用いてUCSBの研究チームは、遷移金属不純物、特に鉄が窒化物半導体の非発光再結合中心として機能することを実証した。研究成果は、そのような不純物がGaNあるいはInGaNベースのLEDの効率に有害な影響を与えることに焦点を当てている。
LEDでは、高純度の材料が照明技術にとって不可欠である。住宅や商用の固体照明、車用の適応型照明、モバイル機器のディスプレイなど。原子スケールの不完全さが、Shockley-Read-Hall再結合として知られるプロセスによりLEDの性能を制限する。LEDの動作は、電子とホールの発光再結合に依存している。欠陥あるいは不純物は非発光再結合源として働き、発光を阻害し、LEDの効率を下げる。
UCSBを中心とした研究チームは、鉄が、たとえppm以下でも極めて有害であることを特定した。
鉄のような遷移金属不純物は、シリコンやGaAsなど従来の半導体をベースにしたデバイスに多大な影響を与えることは以前から知られており、このような不純物は「キラーセンタ」と言われている。したがって、GaNの再結合動力学で遷移金属の役割を理解する努力をしてこなかったことは驚くべきことである。
「Shockley-Read-Hall理論の鋭さに欠ける適用、バンドギャップ内の欠陥レベルの検査をベースにすると、GaN内の鉄は無害であるとの結論に至る。しかし、われわれの研究は、不純物の励起状態が、それをキラーセンタに変える重要な役割を果たしていることを示してる」と論文の筆頭著者、Dr. Darshana Wickramaratneは説明している。
UCSB研究チームは、鉄が重大な効率損失に至る再結合経路を特定した。高度な第1原理計算は、再結合プロセスにおける励起状態の役割を特定し理解するのに極めて重要だった。
遷移金属不純物の意図せざる混入を防ぐには成長とプロセスの厳しいコントロールが求められることが研究成果から分かる。鉄の汚染の源に含まれるのはステンレス製のリアクタで、これは窒化物半導体の成長技術で使われることがある。
(詳細は、www.ucsb.edu)