November, 1, 2016, Nashville--新しい種類の生物発光センサにより個々の脳細胞は蛍と同じように見え、暗闇でも光る。
バンダービルト大学(Vanderbilt University)の研究チームが開発したプローブは、遺伝子操作された発光酵素の形体であり、その酵素はホタルを含む多くの他の種が発光に使用している。
研究チームは、脳の大規模神経ネットワーク内の相互作用を追跡するための新たな、改善された方法としてその技術を開発した。
「長い間、神経科学者は、ニューロンの活動を記録するために電気技術に依存していた。これは個々のニューロンのモニタリングには非常に優れているが、ニューロンの数は限定される。新しい波は、光技術を使って数100のニューロンの活動を同時に記録する技術である」と研究長、生物化学教授、Carl Johnsonは話している。
「光記録の研究のほとんどは蛍光を使うが、これには強力な外部光源が必要になる。しかし光源は組織を加熱し、生物学的過程との干渉も起こる、特に光に敏感な組織である」。
「誰もあまり注意を払わなかった、小さな有機体、緑藻、クラミドモナス」の生物発光に今回の研究は基づいている。研究チームは、発光と光遺伝学とを統合すれば、脳の活動を研究するための強力なツールが作れることに気づいた。
「蛍光技術と光遺伝学との間には本質的な対立が存在する。蛍光の生成に必要な光は、細胞の制御に必要とされる光と干渉する。一方、発光は暗闇の中で機能する」。
研究チームは、エビの発光種から採った発光酵素を遺伝子操作し、それがカルシウムイオンに触れると発光するようにした。次に、ニューロンに感染するウイルスを乗っ取り、ニューロンのセンサ分子にウイルスを付着させ、センサが細胞内部に挿入されるようにした。
カルシウムイオンはニューロンの活性化に関わるので、研究チームは、カルシウムイオンを選択した。周辺環境ではカルシウムレベルは高いが、通常はニューロン内部では非常に低い。しかし、ニューロンが隣接ニューロンの1つから刺激を受け取るとカルシウムレベルが短期的に急上昇する。
研究チームは、光遺伝学プローブ(チャネルロドプシン)の1つで新しいカルシウムセンサをテストした。チャネルロドプシンは、ニューロンの外膜のカルシウムイオンチャネルを開かせ、細胞をカルシウムで満たす。培養で育てたニューロンを使い、プローブが可視光の短い光フラッシュの刺激を受けると、発光酵素がカルシウムの流入に明白に反応するのを確認した。
もっと多くのニューロンに、そのセンサがどの程度機能するかを判断するために研究チームは、それを数千のニューロンを含むマウスの海馬の脳スライスに挿入した。この場合、研究チームは、濃度を高くしたカリウムイオンでスライスを満たした、これは細胞のイオンチャネルを開かせるためである。再度、センサは、カルシウム濃度の違いに明るくなり、薄暗くなりながら反応することが確認された。
Carl Johson氏は、「このアプローチが有効であることを示した。今度は、感度の程度を定める必要がある。個々のニューロンの活性化を検出できる程度の感度はあるが、それが実際にこうした能力があることを判断するためにもっとテストを行う必要がある」と話している。