October, 20, 2016, 横浜--日立情報通信エンジニアリングは、 人の流れをレーザ・レーダー方式で計測し、広域における動線や滞留状況などの解析が可能な「人流計測ソリューション」を機能強化・拡張し、新たに「動線計測ソリューション(Flow-based Object Tracking Solution)」として、提供を開始した。
「動線計測ソリューション」は、人に限らず、モノ(物体)の流れを含めた動線を計測し、BI1(Business Intelligence)ツールやAI(Artificaial Intelligence)などとの連携による位置情報の分析・利活用が可能な空間情報ソリューションを実現する。
近年、公共施設や商業施設においては、利便性の向上や防災・セキュリティなどの観点から、人の位置情報を取得し、その流れ(データ)を分析・利活用することが注目されている。また、工場・物流・倉庫施設などにおいては、Industry 4.0(第4次産業革命)の進展により、施設内で働く人とロボットなど、モノの位置情報の重要性が高まっている。正確な位置情報、軌跡を取得することで、施設内における人とモノの流れをコントロールし、生産性の向上や安全な人とロボットの共存が可能となるため、ますます位置情報を計測・利活用できるサービスやソリューションが求められている。
日立は、これまで人の流れをレーザ・センサーで計測し、広域における人の動線や滞留状況などのリアルタイム監視と、各種解析が可能な「人流計測ソリューション」を提供してきた。オフィス・商業施設におけるレイアウト検証や、工場・倉庫における作業員の動線把握、進入禁止エリアへの侵入監視によるセキュリティ強化など、多様な用途・目的での導入実績を有している。
日立は、この「人流計測ソリューション」の人流検知・管理機能をベースに、独自のアルゴリズムとカテゴライズによって、人だけでなく、モノの識別も可能な「動線計測ソリューション」を新たに開発した。これにより、人とロボットなどの安全な共存が不可欠なフィールドでの利活用が可能となる。例えば、工場や物流倉庫などにおいて、フォークリフトや自動搬送車の稼働エリアに人が侵入した場合に検知・発報する(1台のレーザセンサで半径20m、角度270°で計測)といった安全対策のほか、軌跡情報を運行管理情報などと連携・解析することで、人と自動搬送車の共存による効率的な作業が実現できる。また、人と自動搬送車の作業エリアや作業工程の見直し、ルートの再設定など、業務改善やコスト削減にも有効。
このソリューションは、センサ拠点情報を集約管理するデータベース機能に、GIS(Geographic Information System)情報として国際標準仕様OGC (Open Geospatial Consortium)フォーマットを採用し、地図情報管理システムとの連携がスムーズに行える。また、WEBアプリケーションによる動線情報のリアルタイム表示や閲覧、分析レポートを作成できる機能を有しており、ユーザ自身によるオンラインでの分析レポートの作成が可能。加えて、IoTプロトコルに上位アプリケーションやシステムとの連携が可能なMQTT (Message Queueing Telemetry Transport)を採用し、LTE回線経由でのセンサ拠点情報の集約も図れる。
測定には、従来の2D方式レーザ・センサに加えて、遮蔽による死角が多い環境でも物体の識別精度の高い3D方式レーザ・センサをラインアップ化し、利用環境によらない柔軟な測定を可能とした。さらに、カメラシステムやRFIDシステムなど、他センサと連携可能な汎用インタフェースを追加し、レーザ・センサだけでなくさまざまなセンサ機器や上位アプリ、システムとの連携が可能となった。データの分析・利活用において、ビッグデータアナリティクスの「Pentahoソフトウェア」や人工知能「Hitachi AI Technology/H」などとシームレスに連携する。