July, 19, 2016, Erlanger--フランスESPCI ParisおよびCNRS、Institut Langevin、Rémi Carminatiの研究チームは、「ハイパーユニフォーム材料」という特別な材料が、高密度で透明になることを発見した。
この成果は、新しい光制御法を実証するものであり、太陽電池を含む多くの光ベースのアプリケーション向けの新規材料につながる。この「ハイパーユニフォーム材料」は、不規則であるが完全にランダムでないパタンの光散乱粒子を含むプラスチックやガラスで作製できる。
ハイパーユニフォーム材料は、過去10年研究されてきたが、その光学特性が明らかになったのはつい最近のことである。ハイパーユニフォーム材料が透明であるのは、粒子密度が光を透過して粒子が相互に何度も相互作用するときであることをこれまでに研究者たちが明らかにしていた。
「一般に、材料密度が高くなると、光の散乱が増え、不透明に見えるようになる」とCarminatiは指摘する。「しかし、光が材料を透過する過程で多くの粒子と相互作用するところまでハイパーユニフォーム材料を高密度化すると、まだ透明性を観察することができることを示した。これは予想外であり、以前は誰も説明できなかった」。
高密度ハイパーユニフォーム材料のこの驚くべき特性が現れるのは、材料内の粒子がミクロスケールで秩序化のためである。均一間隔の粒子はあらゆる方向に光を散乱するが、光波のほとんどは相互干渉し、材料を透過する方向に進む光を除いてすべての散乱光は止められる。材料に入る光は、均一な材料を透過するかのように順方向に進み続けるので、材料は透明に見える。材料が透明になる光の波長は、使用する材料の厳密な特性に依存する。
高密度ハイパーユニフォーム材料、ミクロスケール(フォトニクスのアプリケーションでは1µm程度)では、高度に秩序化されているが、より大きなスケールでは無秩序のままである。
光波の制御
「光波が材料と相互作用する時、一般に生ずる散乱が、波の興味深い多くの特性を崩す。われわれの研究から、材料そのものを使って波の伝搬法を制御できることが分かった。これは大きなパラダイムシフトである。材料の透明性を予想していない特定の領域で透明な特殊材料を製造することは、できることの一例である」とCarminatiは話している。
さらに同氏は、この高密度で透明な材料のアプリケーションはまだ先の話であるが、様々な光学特性を提供する材料が作れる可能性をこの研究は示している、と指摘する。例えば、外部の電界に反応して、ランダムな間隔の粒子から間隔を完全に揃えた粒子に変えることができる、したがって白く見えるものから透明に変えることができる。
ハイパーユニフォーム材料は、太陽電池にも有用となる可能性がある。材料に入射する光の散乱の仕方、粒子による吸収の仕方を操作する方法を提供できるからである。幅広い波長にわたって吸収が向上するように材料を変えることを利用して光をエネルギーに変換できる。
光波は、音響波や量子波のように振る舞うので、高密度で透明な材料は原理的に、他のタイプの波でも設計できる。