June, 28, 2016, Houston--ヒューストン大学(UH)の研究チームは、近赤外(NIR)光を使って物質の化学組成を明らかにする新しい技術を報告した。
この成果には、石油・ガス業界の油井掘削分析改善、集光し電気に変換できる太陽光のスペクトル拡大を含む非常に多くの潜在的なアプリケーションがある、と論文の筆頭著者、UH電気・コンピュータ光学准教授、Wei-Chuan Shihは説明している。
このことの意味は、赤外スペクトルで動作するセンサでは正確に計測できない物質が、今後は、近赤外スペクトルを使う技術によりさらに詳細に観察できると言うことである。
赤外スペクトルを使う分光学、スキャンして有機、高分子、無機材料などの化学成分を特定する赤外光を使う分析技術は、重要なツールではあるが、それには限界がある。
赤外光は水に吸収されるので、その技術は水性試料には効果がない。
近赤外スキャニングは水に適合するが、現状の技術は他の波長を使う技術と比べると感度が低い。
「こうした問題を克服するために、ナノポラスゴールド(NPG)ディスクで1~2.5µmNIR波長範囲で化学センシングと屈折率センシングの両方を同時に可能にする新技術を開発した。これは局所化された電場増強の高密度プラズマホットスポットを特徴としている。表面増強近赤外吸収(SENIRA)分光を初めて高感度化学検出で実証した」と研究チームは、説明している。
Shihは、必要な計測感度1000倍増強したと言う。
ナノポラスゴールドディスクは2013年の研究成果。今回のプロジェクトでは、ナノディスクを調整、設計して特殊波長に反応するようにした。これにより赤外と近赤外スキャニングの両方の利点をもつセンシング技術の開発が可能になった。
同技術は、様々な原油や他の炭化水素サンプルでテストされた。
研究チームは、この技術を使う新しい方法についても研究している。
論文では炭化水素成分分析を、その技術の適用法として使っているが、Shihはどんな分子種にも適用できると話している。