June, 24, 2016, Jena--宇宙機関は、人工衛星でプリズムとグレーティングを介して大気のグリーンハウスガスの広がりを調べている。新技術により、両方のコンポーネントの相互接続が可能になる。これらは宇宙に適するものとなり、スペクトル分解能の新たな品質レベルが達成される。
産業のCO2排出に加え、農業も気候の変動に大きく影響を及ぼしている。特にメタン(CH4)、二酸化窒素(N2O)は家畜や施肥により大量に放出されている。人工衛星で宇宙に打ち上げられた分光計で、宇宙機関は大気中のグリーンハウスガスの量を計測できるようになっている。これらの分光計は、地球からの反射光をその構成要素の色に分解することによって分析する。最高の分解能を達成するために、グレーティングとプリズム構造が統合される。プリズムは青い光を最も強く屈折し、一方グレーティングは赤い光を曲げる点で優れている。しかしこれまでのところ、宇宙に適するように2つの構造を統合することは困難であった。通常の接着剤は選択肢にはない、と言うのは接着剤は光を吸収し(それによって計測結果を歪めるからである)、また放射線の影響を受け、経年劣化も速すぎる。
フラウンホーファー応用オプティクス&精密工学(Fraunhofer Institute for Applied Optics and Precision Engineering) IOFの研究チームは、宇宙の悪条件に挑み、計測結果に影響を与えない方法を開発した。研究チームは、ドイツ航空宇宙センタ(DLR)および欧州宇宙機関ESAと協働している。IOFの研究者、Dr. Gerhard Kalkowskiによると、酸素ブリッジにより光素子を原子スケールで相互に結合する。「これにより、今後、宇宙で使えるようにプリズム-グレーティング構造でできた高分解能システムのためのカギが得られる」。同氏によると、この技術は、すでにシリコンウエファ分野では知られている親水性ボンディングである。このプロセスでは、酸素と水素の原子がウエファ表面に結合する。真空中で温度を上げて表面を相互に押し付けることで両方のパーツ間で堅い(共有結合)酸素結合が形成される。研究チームは、この技術を透明石英ガラスに移転することに成功した。
これによって得られる利点は以下のとおりである。
酸素ブリッジはグレーティングとプリズムを固く接合し、宇宙の放射線はそれらに損傷を与えない。また、接着剤のような中間層がないので、計測結果を歪めることもない。
何よりも課題は、グレーティングとプリズムを相互に正確に位置決めすることであった。それによって研究チームは、グレーティング素性に正確に対応する機械的なエッジをグレーティング上に作り出す。「方向の変動は、要求事項として、わずか数分角、1分角は1°の60分の1である」とKalkowskiはコメントしている。
最初のプロトタイプは、ESAのテストで合格した。