June, 13, 2016, 東京--玉川大学量子情報科学研究所の二見史生教授と加藤研太郎教授は、世界で初めて、ランダム化機構を組み込んだギガビットEthernet(GbE)対応の量子エニグマ暗号トランシーバ(TU Cipher-0)を開発した。「Interop Tokyo 2016」に出展し、最先端の技術や製品などを結集する相互接続検証ネットワーク「ShowNet」に開発したトランシーバを接続し、検証試験が行われた。
データセンター間の高速光通信の安全性は、クラウド・システムのビジネス化を推進する上で最重要課題のひとつである。玉川大学は、光通信システムの安全性を保証するための物理暗号の研究開発に取り組んできた。これまで、原理実証実験レベルにおいて最大100 Gbit/sの暗号通信を実現している。今回、デュアルユースでの実用を目指し、安全性を強化するランダム化機構を組み込んだGbE対応の量子エニグマ暗号トランシーバ(TU Cipher-0)を開発した。トランシーバは、高さ1Uサイズ(約44 mm)で19インチラックに設置可能。6月8~10日に幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2016」に出展し、「ShowNet」において相互接続検証を行った。また、技術詳細は、8月に米国サンディエゴでSPIE(国際光工学会)が開催する国際会議「SPIE Optics + Photonics」にて発表する。
安全性を強化するランダム化機構を組み込んだ、GbEに対応する量子エニグマ暗号の送信機と受信機をワンボックスに収めた量子エニグマ暗号トランシーバ(TU Cipher-0)を作製。トランシーバは全二重通信可能で、GbE信号と物理暗号信号を相互に変換する。19インチラック設置可能の幅で、高さは最小規格の1U (約44 mm)。同大キャンパス内の地下に敷設してある通信試験用の光ファイバ通信回線「TAMA Net #1」に導入し1ヶ月以上にわたりネット接続し、試験運用に成功している。ギガビットイーサネット通信回線の両端にこのトランシーバを導入すると、暗号通信によって回線を保護できる。