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新世代太陽電池を促進するナノマテリアル

June, 2, 2016, Malvern--オーストラリア国立大学(ANU)の物理学研究チームは、ナノマテリアルに全く新しい特性を発見した。これは、高効率熱光起電力セルの可能性をひらくもので、将来、暗闇の中の熱を収集してそれを電気に変えることができる。
 ANU/ARC中核的研究拠点CUDOSおよびカリフォルニア大学バークリー校の研究チームは、新しい人工材料メタマテリアルが、加熱すると普通とは変わった方法で発光することを示した。
 この成果は、放射熱を電気に変換する熱光起電力セルに革命を起こすと考えられらている。
 熱光起電力セルは、従来の太陽電池よりも2倍以上効率的であると予言されていた。このようなセルは、電気の生成に直射日光を必要とせず、代わりに周辺環境から赤外放射の熱を収集することができる。
 また、バーナーと組み合わせてオンデマンド電力を生成でき、熱いエンジンからの輻射熱をリサイクルできる。
 研究チームのメタマテリアルは、金とフッ化マグネシウムの微小なナノ構造でできており、特別な方向に熱を放射する。
 メタマテリアルの形状は、特殊なスペクトル範囲で放射するように微調整も可能。この点は、幅広い範囲の赤外波長として全方向に熱を放射する標準的な材料とは異なっている。このことは、新しい材料が、熱光起電力セルと組み合わせたエミッタとしての利用に適していることを示している。
 ANU物理学/工学研究校、Dr Sergey Krukによると、このメタマテリアルの個々の基本構成要素は、人の毛髪の直径程度の断面に12000個以上を収めることができるほど小さい。
 このメタマテリアルの驚くべき振舞いは、新しい物理特性、磁気双曲線的分散である。
 分散は、光と材料との相互作用を示しており、電磁放射がどのような方向に伝搬するかを3D面で可視化することができるが、自然の材料、ガラスや結晶では、分散面は単純形状、球面か楕円である。
 新しいメタマテリアルの分散は、大きく異なるもので、双曲線になっている。これは、光の磁性部分と材料との強い相互作用から来るものである。
 エミッタとレシーバのギャップがナノスケールのギャップになれば、メタマテリアルベースの熱光起電力セルの効率は、さらに改善できる。この構造では、両者間の放射熱の伝達が、従来の材料間に比べて10倍以上にできるからである。