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数十Gbit/s伝送速度の300GHz 帯テラヘルツ無線用小型送受信機を開発

May, 27, 2016, 東京--日本電信電話(NTT)、富士通、NICTは、共同で、周波数帯域を広く確保できることから高速無線への適用が期待されている、300GHz 帯を用いたテラヘルツ無線用小型送受信機を世界で初めて開発し、直交偏波を用いた多重伝送により毎秒40ギガビットのデータ伝送ができることを確認した。
 また今回、情報端末からスマートフォン等に動画や音楽などの大容量コンテンツをダウンロードするというユースケースを想定し、開発した送信機を情報端末に組み込み、同じく開発した受信機をスマートフォンサイズの小型端末に実装したコンテンツダウンロード実験を行った結果、毎秒2ギガバイト(DVD1枚分のデータを約3秒でダウンロードする速度に相当)のデータ転送を達成した。
 これらの実験を通じて、300GHz帯のテラヘルツ波を使った大容量伝送に向けた小型無線機ならびに要素回路技術を確立したことを示しており、今後、300GHz帯を用いるテラヘルツ波の利用技術が大きく進展することが期待される。

実験成果
(1) テラヘルツ無線用小型送受信機による高速データ伝送実験
超高速デバイスとして知られているインジウム燐高電子移動度トランジスタ(InP-HEMT)を用いて、送受信機向けに高周波回路を設計、および集積回路(IC)化し、300GHz 帯を用いたテラヘルツ無線用小型送受信機を実現した。
 送信機は、ICを実装した金属パッケージ間およびアンテナを導波管で接続する一体化構造で実現し、20Gbit/sのデータ送信を可能にする。一方、受信機は、スマートフォンサイズの端末への組み込みを想定して、アンテナ一体型金属パッケージにICを実装することで1ccサイズを実現し、無線区間を介して受信した20Gbit/sの無線信号を復調し、データ信号として出力する。また、300GHz帯の電波伝搬・計測技術について、電波暗室内での実験で検証した。
 実証実験では、NTTの担当した送信機、前方誤り訂正(FEC)などの信号処理部、富士通が担当した受信機、NICTが担当した電波伝搬・計測技術を持ち寄り、開発した送信機と受信機を対向させ、20Gbit/sのデータ伝送を実施し、その結果、1mを超える伝送距離において、エラーフリー伝送が可能となることを確認した。
 さらに、2組の送受信機を用いて、互いに直交する偏波を用いた偏波多重伝送実験を行い、40Gbit/sのデータ伝送が可能であることも確認した。
 これらの実験を通じて、無線機としての十分な特性と同技術の有用性を確認した。
 
(2) データダウンロードサービスを模擬した実証実験
 今回開発した送信機を情報端末に組み込み、同じく開発した受信機をスマートフォンサイズの端末に実装し、スマートフォンをタッチすることでデータがダウンロードするサービスを模擬した検証実験を行った。
 実験では、コンテンツサーバである送信側PC内に保管した映像ファイルを用いて、その転送速度について評価した。その結果、2ギガバイト(DVD1枚分のデータを約3秒で伝送する速度に相当)の高速データダウンロードが実証できた。現在、高速ダウンロードサービス実現に向けては、ミリ波により検討が進んでいるが、さらなる高速化に向けて、テラヘルツ無線が有効であることを確認した。
(詳細は、www.nict.go.jp)