May, 24, 2016, Houston--ライス大学(Rice University)バイオエンジニアリングの研究グループは、商用グレードCO2レーザカッタを改良し、OpenSLS、オープンソース選択的レーザ焼結プラットフォームを実現した。これにより、粉体プラスチックやバイオマテリアルから複雑な3D物体をプリントすることができる。システムコストは、商用製品と比較して少なくとも1/40以下となり、研究者は独自の特殊粉体材料を使うことができる。
商用SLSプラットフォームと同じオープンソースデバイスである、ライスのOpenSLSプラットフォームの設計仕様とパフォーマンスは、PLOS ONEに掲載されている。OpenSLSは、ローコスト、オープンソースのマイクロコントローラを使って作製されており、作製コストは10000ドル以下。市販のSLSプラットフォームは、一般に40万ドルあたりから始まって、最高100万ドルにもなる。
ライスのバイオエンジニアリング准教授、論文の共著者、Jordan Millerによると、一般にSLSマシーンではユーザは独自の粉体材料で物を造ることはできない。この点は、再生医療や他の生体医学アプリケーションのために生体材料で実験したい研究者には重要である。
「独自のレーザ焼結マシーンの設計の意味は、再生医療研究のためにわれわれが実験で使える生体材料タイプに企業が課している制限がないことである」論文の共著者、Ian Kinstlingerはコメントしている。研究チームは、一連の複雑な物体をナイロン粉体(高分解能3D焼結で一般に使われる材料)とポリカプロラクトン(PCL)の両方でプリントできることを示した。PCLは無毒ポリマで、人工の骨の研究用テンプレート作製に一般に利用されている。
「価格の点では、OpenSLSはこの技術をほとんどのラボの手の届く範囲に下げた。最初からわれわれの目標はここにあった。他の人々が簡単にわれわれの成果を再現でき、装置と成功事例を基準にする人々の支援が容易になるようにすることである。われわれは、全てのハードウエア設計とソフトウエアの改良をオープンソース化し、Githubを介して共有している」。
OpenSLSは、ほとんどの従来の突出型3Dプリンタとは異なる動作をする。従来の3Dプリンタは、溶かしたプラスチックを針から絞り出して2Dパタンを描くように物体を造る。それに対して、SLSは、プラスチック粉体の平坦な床にレーザ照射する。レーザが粉体に触れるところはどこでも、レーザの焦点で粉体を溶かし、焼結し小さな固形物を形成する。レーザを2D描画することでプリンタは最終パーツの単層を作製できる。
「そのプロセスは、クレーム・ブリュレの仕上げに似ている。シェフが粉砂糖をまき散らし、次にトーチで表面を加熱し粉体粒子をいっしょに溶かして固体層を形成する。ここでは、生体材料を粉体にしており、われわれの熱源は焦点を絞ったレーザビームである」とMillerは説明している。
SLSでは、各層が完了すると、新しい粉体層を用意し、レーザが再開して次の層を描く。
「焼結物体は粉体によって3Dで完全に支持されているので、この技術によって信じられないような複雑な構造ができる。これは他の3Dプリンティングでは簡単には作製できない」(Miller)。
Millerによると、商用CO2レーザカッタがローコストの万能選択的焼結マシーンの第一候補である。
(詳細は、www.rice.edu)