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電子ビーム技術を使ってOLEDをマイクロパタンニング

May, 18, 2016, Dresden--フラウンホーファー有機エレクトロニクス、電子ビーム、プラズマ技術研究所FEPは、サンフランシスコで開催されるSID Display Week 2016で電子ビームを使った初のMicro-OLEDパタンを紹介する。
 フラウンホーファーFEPは長年、有機半導体材料プロセスの分野で経験を積んでいる。研究者は、有機半導体をベースにしたOLEDやOLEDマイクロディスプレイも開発している。現在、電子ビーム技術の新しいアプリケーション、特に有機エレクトロニクス分野が研究されている。傑出した光学的電子的特性により、OLEDはモバイルエレクトロニクスやディスプレイに幅広い潜在的なアプリケーションがある。特に高ピクセル密度の小型ディスプレイ、OLEDマイクロディスプレイなどが、例えば拡張現実(AR)、仮想現実(VR)などの将来アプリケーションで必要になる。研究チームは現在、高解像度を維持しながらさらに微小化することに取り組んでいる。OLEDの有機層のパタニングは最も難しいものの1つである。フォトリソグラフィなど、従来の方法は、有機半導体材料への適用が簡単ではないからである。
 フラウンホーファーFEPの研究チームは、高解像度OLED発光領域の有機層のパタニングに新たなアプローチを開発した。この特許技術は電子ビームプロセスを使う。これは、カプセル化を含むOLED仕上げの後の工程である。したがって生産性の高いパタン化されていないOLEDを造ることができ、その後に発光は調整された電子ビームプロセスによって個別に改良される。電子のエネルギーが、積層への侵入度を決める。プロセスパラメータを適切に選択することで、カプセル封入にも電子ビームが侵入し、その下の有機層の発光特性が変わる、カプセルそのものを破壊したり、傷つけることはない。アプリケーションによって、個別層を直接改良することも可能である。
 「画像の連続的グレースケールは、電子ビームを使ってモノクロOLEDに作製可能であり、同時に局所的電流消費も低減される。1点へのビームの滞留時間が長ければ長いほど、そこでのOLEDは暗くなる」とフラウンホーファーFEPの開発チーム、Elisabeth Bodenstein氏は説明している。
 描き込み時間が2分以下でも、12700dpiという素晴らしい解像度が得られる。これは画像ドット2µm間隔に相当する。OLEDの構造化は、Raith GmbHの電子ビームリソグラフィシステムで行われた。
 このプロセスは適応性が高く、LEDがリジド媒体、フレキシブルフィルムに適用されるか否かに関わらず、基板が半透明であっても、OLEDのいかなる色でも半透明または透明になる。基板のサイズは汎用的であり、対応するアプリケーションに適合可能。フルカラーパタニングの強化も計画されている。