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シングルフォトンレベルで光波長をシフトするノンリニア・ナノ共振器

April, 20, 2016, Gaithersburg--1つの色、つまり周波数から別の周波数へシングルフォトンを変換することは、量子通信では重要なツールになる。NIST(米国国立標準技術研究所)の研究チームは、コンピュータチップを作るのと同じ技術を用いて、周波数変換の微細化バージョンを開発した。
 その微小デバイスは、次世代の量子通信システム運用のセキュリティを改善し距離を延ばすと期待されており、調整することで多様な利用が可能になる。また、他の情報処理素子との統合が容易になり、量産が可能になる。
 新しいナノスケール光周波数コンバータは、フォトンを1つの周波数から他の周波数に効率よく変換する。併せて、消費電力は極めて少なく、入力信号と関係しない背景光、つまりノイズレベルも非常に低い。
 周波数コンバータは、2つの問題に対処するために重要である。量子系が適切に情報を生成し蓄積する周波数は一般に、その情報を光ファイバでキロメートルの距離伝送するのに必要な周波数よりもはるかに高い。これらの周波数の間での変換は、数100Hzのシフトが必要になる。
 同じであるべき2つの量子系が形状や成分にわずかな変化があると、極めて小さいが、それでも非常に重要な周波数ミスマッチが生ずる。このような変化により、システムは量子通信ネットワークが必要としているような、正確なコピーではなく、わずかに周波数が異なるフォトンを生成する。
 Nature Photonicsに発表された論文によると、新しいフォトン周波数コンバータは、ナノフォトニックエンジニアリングの一例であるが、両方の問題に対処する。チップ集積デバイスの需要コンポーネントは、微小なリング形状の共振器で、これは直径約80µm、厚さは1µmの数10分の1である。シリコンナイトライド(SiN)でできたリングの形状と寸法は、光を1つの周波数から別の周波数に変換する材料に固有の特性を強化するために選択された。リング共振器は、それぞれ異なる周波数で動作する2つのポンプレーザで駆動される。4光波混合ブラッグ散乱という方式で、リングに入ってくるフォトンは2つのポンプレーザの周波数の差に等しい量だけ周波数シフトする。
 トラックを周回するように入力光は共振器を数百回周回して出て行く。これは以前の実験と同じであるが、新しいシステムの消費電力はわずか1/100程度になっている。重要な点は、ノイズ量が、シングルフォトン光源を用いる今後の実験に十分な程度に低いことである。
 他の技術が周波数変換に適用されているが、「ナノフォトニクスの潜在的な優位性は、デバイスが著しく小さくなること、カスタマイズが容易になること、低消費電力、バッチ製造技術に適応可能であることだ。われわれの成果は、このように要求の厳しい量子周波数変換にナノフォトニック技術が適していることの初めて実証である」とKartik Srinivasanはコメントしている。