April, 13, 2016, 東京--テクトロニクスは、電気-光センサを使用してDUT(Device Under Test、被測定デバイス)とオシロスコープの完全なガルバニック絶縁を可能にした新技術IsoVuを発表した。
これは、大きなコモンモード電圧がある場合でも、高い周波数の差動信号を正確に測定することを可能にする、業界初の測定ソリューション。また、この技術は、外部干渉や放射エミッションに対する電磁耐性も提供するので、EMIが測定に及ぼす影響を最小限に抑えることもできる。
従来、GaNやSiC技術を含むパワー・デバイス設計や、その他の高速アプリケーションに携わるエンジニアには、コモンモードの干渉があるなかで差動信号を正確に視覚化する方法はなかった。そのため、こうした信号は隠されてしまい、回路内で何が起こっているのかの確認が困難になり、デバッグや特性評価に時間を要する原因になっていた。また、エンジニアはノイズが多い環境や、大きなEMIがあるなかでの測定の難しさにも直面していた。
今回発表するIsoVu技術は、このような課題を解決する可能性を持っている。IsoVuでは、電気-光センサで入力信号を光変調信号に変換し、これにより、DUTとオシロスコープは電気的に絶縁される。IsoVuは4つの独立したレーザ、光センサ、5本の光ファイバと精巧なフィードバック/制御技術で構成されている。テスト・ポイントに接続されるセンサ・ヘッドは電気的に完全に絶縁されており、電源は光ファイバの一本から供給される。この技術では、10件の特許が出願されている。
IsoVu技術は、実証レベルではDC~100MHzで120dB(1,000,000:1)以上のコモンモード除去を実現しており、これは、従来の測定システムに比べて33,000倍優れた性能。1GHzでは80dB(10,000:1)のコモンモード除去となり、従来の測定システムの1,000倍優れている。結果として、コモンモードの干渉なしに、回路のどこでも測定することが可能になる。
この技術を使うと、DC~1GHzで2kV未満の大きなコモンモード電圧があった場合でも、小さな差動信号(5mV~50V)を正確に測定できる。これはコモンモード電圧の定格が周波数によって低下することのない、世界初の信号アクイジション製品になる。優れた汎用性に加え、3mの光ファイバ・オプションと同じ性能を持った10mの光ファイバ・ケーブルのオプションも計画されている。これにより、DUTの干渉や放射エミッションからテスト・システムを離すことが可能になる。これは、リモート・テストやEMI検証などのアプリケーションに最適である。