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世界最高クラスの高輝度/超小型化実現モデル、3原色レーザ光源を実証

March, 17, 2016, 東京--NEDOプロジェクトにおいて、大阪大学と島津製作所は、3原色の可視光半導体レーザ技術を用いて2種類の3原色レーザ光源モジュールを開発した。
 2種類のモジュールはそれぞれ高輝度表示装置やレーザ照明向けに世界最高クラスの輝度を実現した高輝度モデルと、走査型レーザ投射用にシングルモードファイバ出力が可能な世界最小クラスのサイズを実現した超小型モデル。
 これらのモジュールを機器メーカー9社の機器に組み込み評価を行なった結果、レーザはLED等の他の光源に比べて、小型化、省エネ性能、色再現性において優位性があることを確認した。
 こうしたレーザの特性から、今後、スマートフォンやタブレット端末等の小型電子機器から、数十メートル級シアターやプロジェクションマッピング等の大型映像装置まで幅広い応用が期待され、これら機器への実装を目指す。
 今回の高輝度モデルは、3原色の半導体レーザ(SHG型を除く)で、1万ルーメン級以上の輝度の実現可能性を示す。小型で高輝度な半導体レーザは、シネマクラスのような大規模なプロジェクタにおいても実用化が加速し、鮮明な大画面や省電力化の要求に応えることが期待される。
 また、個人・ホームユース等の小型プロジェクタにおいては、光線の拡散がほとんど無いため投影面の距離や形状等に関わらず焦点が合うというレーザの特性が良好に活かされる。また、このような特性は、人間の眼にも適用できる可能性があり、例えば、眼に無害な強度のレーザ光を直接網膜上に走査することにより、近視等の屈折異常のある人でも、ピントの合った画像が得られるというユニークなヘッドマウントディスプレイ(HMD)の実現が期待できる。超小型モデルはこうしたニーズに応えるもので、今後さらなる小型化が期待される。
 さらに、今回開発した技術の特長として、内部に用いる半導体レーザ素子の数の調整により、大規模な高出力用にも比較的小規模な低出力用にも柔軟に対応できる利点と、ファイバを通して光源と発光部分の分離が可能という利点も挙げられる。例えば車載ヘッドライトに適用できれば、高い遠方照度性と照射位置の制御性に加えて、光源本体の搭載位置を自由に選べるメリットが想定される。

可視光半導体レーザ応用コンソーシアムの設立・運営とガイドラインの策定
 大阪大学を運営母体とする「可視光半導体レーザ応用コンソーシアム」は、3原色レーザ光源モジュールの仕様・性能基準および信頼性、搭載製品の安全性などの課題について検討し、プロジェクト期間中に6種類のガイドラインを整備しました。このコンソーシアムは、業界シェア8割を超えるデバイスメーカーや機器メーカーなどの主要な関連企業と大学・研究機関など51機関で構成されている。
 このコンソーシアムでは、可視光半導体レーザの実用化の障害である、人間の眼に対するレーザの安全性を確保する技術的基準等について議論している。また、レーザを用いて映像を描く際に技術的課題となるスペックルというレーザ特有の現象についても解決を目指している。スペックルは、レーザ走査で画像を投影する際、画像に干渉模様が混じり正確な画像が描けなくなるという問題であるが、大阪大学が中心となり、スペックル発生画像を妥当に評価する評価技術を開発し、これをもとに視覚的に許容されるスペックルの基準案を策定した。
 これらを含む上記6種類のガイドラインは順次公開を進め、プロジェクト終了後も独自に国際標準化提案に向けた活動を進めていく。
(詳細は、www.shimadzu.co.jp)