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ライス大学、レンズ不要の符号化マスクカメラを開発

November, 25, 2015, Houston--ライス大学電気・コンピュータ工学エンジニア、Richard Baraniuk、Ashok Veeraraghavanが開発したFlatCamは、従来のカメラのレンズを置き換えるマスクを持ち、薄いセンサチップ程度のサイズとなっている。
 それを実用的にするのは、高度なコンピュータアルゴリズム。これにより、センサが検出するものを処理し、センサによる計測結果を画像とビデオに変換する。
 昔ながらのカメラは、スマートフォンに普及が進むことによって縮小している。しかし、こうしたカメラはいずれもレンズを必要とする。さらに、レンズをカメラに組み込む、製造後のアセンブリが必要になり、これがコストを押し上げている。
 FlatCamは、カメラのこうした問題を一掃した。しかもカメラは、薄くて柔軟であり、従来のデバイスでは不可能なアプリケーションに対応できる。Veeraraghavan氏によると、FlatCamはマイクロチップのように、正確に迅速に製造でき、関連するコストも削減できる。レンズがないので、最新のプロトタイプは、10セント硬貨程度の薄さである。
 「従来のカメラはどんどん小型化しているので、センサも小さくなる。これは、集光できる光が少なくなることを意味する。カメラの微光での性能はセンサの表面エリアに関係している。残念ながら、カメラは全て基本的に立方体(キューブ)設計であるので、表面エリアは厚さに関連している。われわれの設計では、2つのパラメータが分離され、非常に薄くて大きなセンサの強化された集光能力を利用することができる」と同氏は説明している。
 「キューブデザインから、性能を犠牲にしないで単純な面デザインに移行することで、非常に多くの可能性が開ける。湾曲したカメラ、カメラとして機能する壁紙も作製可能になる。クレジットカードや、超薄型のタブレットにカメラを組み込むことも可能だ」。
 FlatCamは、レンズレスのピンホールカメラと共有する部分はあるが、単一ホールではなく、センサ近傍にグリッド状の符号化マスクを設置している。個々のアパチャにより、わずかに異なる一連の光データがセンサに届くようになっている。バックエンドのプロセッサに送られた生データは分類されて画像になる。非常に大きなライトフィールドカメラ(プレノプティックカメラ)と同じように、データ収集後の画像の焦点深度は多様にできる。
 ライスの手製のプロトタイプは、市販のセンサを使用しており、数秒で512×512画像を生成するが、研究チームによると、より高度な製造技術と再構成アルゴリズムを開発することで解像度は向上する。
 なお、論文ではFlatCamの限界として画像/角度分解能、処理時間に依存する時間遅延が挙げられている。
(詳細は、論文: http://arxiv.org/abs/1509.00116)