November, 25, 2015, Murray Hill--Alcatel-Lucentの研究機関、Bell Labs(ベル研)は、光ネットワークの容量限界を打破するブレイクスルー達成を発表した。
2015 IEEEフォトニクスコンファランスでBell Labsは、光ネットワーキング技術、リアルタイム空間分割多重光MIMO-SDMシステムを発表した。
Bell Labsが開発したMIMO-SDM技術の世界初のデモンストレーションは、現在のファイバ容量10~20Tbpsをペタビット(=1000Tbps)スケールに増やす潜在力がある。6個のトランスミッタ、6個のレシーバとリアルタイムDSPを用いた6×6 MIMO-SDMリアルタイム実験が、ニュージャージのベル研で、60km長のモード結合ファイバ(CCF)(3コア)を使って実施され、成功が報告された。
MIMO-SDM技術を利用してBell Labsは、現在の光ファイバに対する非線形「シャノン限界」による容量制限を克服することを狙っている。これは、現在のメトロや長距離伝送ネットワークで使用されている1本の光ファイバの最大情報転送速度に基本的な閾値を設定している。
Alcatel-LucentのCTO、Bell Labsプレジデント、Marcus Weldon氏は「この実験は、将来の光伝送の開発における大きなブレイクスルーを示している。5Gワイヤレスの到来、クラウドネットワーキングの進行で、われわれは通信ネットワークにおける巨大な変化の岐路に立っている。オペレータもエンタプライズも、ネットワークが膨大なトラフィック増という挑戦を受けると見ている。Bell Labsは、こうした需要に対応するために今後の通信ネットワークを形作る連続的な革新に取り組んでいる」とコメントしている。
注目点
・Bell Labsは世界初のプロトタイプ技術、6×6リアルタイム光MIMO伝送システムを実証した。同技術は、光伝送ネットワーク容量制限を今後のトラフィック需要に対処できるようにする。
・MIMO-SDM技術を使いBell Labsは、現在導入されている光ファイバの非線形シャノン限界を克服することを目標にしている。6×6リアルタイムMIMO伝送技術実験中、6つの並列光信号パスをサポートする特殊ファイバのマルチシグナルからのクロストークを、初めてリアルタイム処理を使って除去した。このブレイクスルーにより、オフライン処理を使用する以前の実験と比較して、この技術は実現に一歩近づいた。
・MIMO-SDM技術は、現在のファイバ容量をペタビットに拡大する可能性を持っている。これは、1本の光ファイバで、米国の人口の2/3が同時にHD映画を流すのに十分な容量である。
・Alcatel-Lucentは、2010年6月にシングルキャリア100G技術の初の商用利用可能を発表した。2014年には100G/200Gシングルキャリアラインカードの初の商用提供を発表しており、伝送容量は最大24Tbpsが可能になっている。2013年には、Alcatel-Lucentは、Bell Labsと共同開発した400Gフォトニックサービスエンジン(PSE)をベースにして、FT Orangeとともに初の400Gスーパーチャネル光リンク、容量17.6Tbpsの導入を発表した。