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ETH-Zurich、世界最小発光ダイオード製造

December, 2, 2025, Zurich--チューリッヒ工科大学(ETH-Zurich)の研究チームは、ナノスケールで有機発光ダイオード(OLED)を製造しており、これは人間の細胞の約100分の1の小ささである。これにより超高精細スクリーンや顕微鏡が可能になるだけでなく、極めて微細なピクセルサイズのおかげで波動光学応用においてまったく新しい可能性が開かれる。

小型化は半導体産業の原動力とされている。1950年代以降のコンピュータ性能の飛躍的向上は、シリコンチップ上でより小型の構造を製造できるようになったことが大きな要因である。ETH-Zurichの化学技術者たちは、現在主に高級携帯電話やテレビ画面で使われている有機発光ダイオード(OLEDs)のサイズを数桁に縮小することに成功した。チームの研究は最近、Nature誌に掲載された。

ワンステップで小型化
発光ダイオード(LEDs)は、電流を光に変換する半導体材料から作られた電子チップ。「これまでに開発した中で最も微細なOLEDピクセルの直径は100nmの範囲で、現在の最先端の約50分の1に相当する」と、ETH-ZurichのChih-Jen Shih教授が率いるナノ材料工学研究グループの博士課程学生、Jiwoo Ohは説明している。

OhはTommaso Marcatoと共に新しいナノOLEDの製造プロセスを開発した。「たった一歩で、最大ピクセル密度は以前より約2500倍になった」と、Shihのグループでポスドクとして活動しているMarcatoは付け加えている。

比較として、2000年代までは、コンピュータプロセッサの小型化ペースはムーアの法則に従い、電子素子の密度が2年ごとに倍増した。

スクリーン、顕微鏡、センサ
一方で、100nmから200nmのピクセルは、例えば目に近づけたメガネで非常にシャープな画像を表示できる超高解像度スクリーンの基盤を形成している。これを示すために、Shihの研究チームはETH-Zurichのロゴを展示した。このETHロゴは2,800個のナノOLEDsで構成されており、人間の細胞に似たサイズで、各ピクセルは約200nm(0.2µm)である。ETH-Zurichの研究者たちがこれまでに開発した最小のピクセルは100nmの範囲に達する。

さらに、これらの微小な光源は高分解能顕微鏡を通じてサブミクロメートル範囲に焦点を合わせるのに役立つ可能性がある。「ナノピクセルアレイを光源として使えば、サンプルの最も微細な部分まで照らすことができ、個々の画像をコンピュータ上で組み立てて非常に詳細な画像を提供できる」と、技術化学の教授は説明している。また、ナノピクセルを個々の神経細胞からの信号を検出できる微小なセンサとして認識している。

ナノピクセルによる光波効果の生成
これらの微細な寸法は、これまで全く手の届かなかった研究や技術の可能性も広げる、とMarcatoは強調している。「同じ色の2つの光波が波長の半分以上近づく、いわゆる回折限界が現れると、それらはもはや独立して振動するのではなく、互いに相互作用し始める。」可視光の場合、この限界は色によって約200〜400nmの範囲であり、ETH-Zurichの研究者が開発したナノOLEDはこれほど近い距離に配置可能である。

波が相互作用する基本原理は、隣り合った2つの石を鏡のように滑らかな湖に投げ入れることで適切に説明できる。円形の水波が交わる場所には、波の頂点と谷が描かれる幾何学模様が形成される。

同様に、インテリジェントに配置されたnano-OLEDsは、隣接するピクセルからの光が互いに強化または打ち消し合う光波効果を生み出すことができる。

光の方向と偏光の操作
初期の実験では、Shihのチームはそのような相互作用を利用して、放出される光の方向を的確に操作することに成功した。チップの上方から全方向に光を放つのではなく、OLEDsは非常に特定の角度でのみ光を放つ。「将来的には、ナノOLEDマトリックスの光を一方向に束ねて強力なミニレーザを構築することも可能になる」(Marcato)。

偏光、すなわち一つの平面だけを振動する光は、研究者たちがすでに示しているように相互作用によって生成されることもある。今日では、例えば医学において健康な組織とガン組織を区別するためにこの技術が活用されている。

現代の無線やレーダー技術は、これらの相互作用の可能性をわれわれに示してくれる。それらは数メートルからキロメートルまでの波長を使用し、すでにこれらの相互作用をしばらく利用している。いわゆるフェーズドアレイの配置により、アンテナや送信機の信号を正確に整列し集束させることが可能である。

光学スペクトルにおいては、これらの技術はデータネットワークやコンピュータにおける情報伝送のさらなる加速に役立つ可能性がある。

セラミック膜が大きな違いを生む
これまでのOLEDsの製造では、発光分子がその後シリコンチップに気相沈着している。これは比較的厚い金属マスクを使用することで実現され、それに応じてより大きなピクセルを生成する。

Ohが説明するように、小型化への推進は現在、特殊なセラミック材料によって可能になっている。「SiNは非常に薄く、しかし耐久性のある膜を形成でき、数平方ミリメートルの表面でもたるまない。」

その結果、研究チームは約3,000倍薄いナノOLEDピクセルを配置するためのテンプレートを作成することができた。「われわれの方法は、コンピュータチップの製造のために標準的なリソグラフィープロセスに直接統合できるという利点もある」(Oh)。

新しい技術への扉を開く
新しいナノ発光ダイオードは、2024年にスイス国立科学財団(SNSF)からShihに授与されたコンソリデーター助成金の枠組みで開発された。研究チームは現在、この方法の最適化に取り組んでいる。ピクセルのさらなるミニチュア化に加え、操作にも重点が置かれている。

「われわれの目標は、OLEDsを個別に制御できるように接続することだ」とShihは話している。これは、光のピクセル間の相互作用の最大限の可能性を活かすために必要である。他にも、精密に制御可能なナノピクセルは、電子的に光波を操舵・集束できるフェーズドアレイ光学の新規応用への扉を開く可能性がある。

1990年代には、位相配列光学が二次元スクリーンからのホログラフィック投影を可能にすると仮定された。しかしShihはすでに一歩先を見据えている。将来的には、相互作用するOLEDsのグループをメタピクセルにまとめ、空間に正確に配置することも可能である。「これにより、視聴者の周りで3D画像を実現できるようになる」と同氏は未来を見据えて話している。