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カメレオンの皮膚からヒントを得たエネルギー効率のよいディスプレイ

August, 29, 2023, Urbana--カメレオンの色が変わる皮膚からヒントを得てUSの研究者は、電子ペーパーよりも10倍以上エネルギー効率が優れた新しいタイプの反射ディスプレイを開発した(Sci. Adv., doi: 10.1126/sciadv.adh1321)。
同技術は、Polytexisと名付けられ、液体の液滴、フレキシブルなフィン、微小メカニカルポンプの組合せを使って切替え可能視覚コントラストを実現する。

モーフィングスキンをモデル
一般に、反射ディスプレイは、周辺光を利用しているので、発光ディスプレイよりも遙かにエネルギー効率がよい。2つの広いカテゴリーがある。駅やスタジアムにあるようなフリップディスクディスプレイ、AmazonのKindleなど、Eーリーダーで使われるような電子ペーパーディスプレイである。
イリノイ大学(University of Illinois, Urbana-Champaign)機械科学&工学教授、論文の著者Sameh Tawfickは、電気毛管現象に対する関心とソフトロボット工学を組み合わせて、自然界に見られるモーフィングスキン付属品を模擬できる第3タイプの開発を狙っていた。

「動物の世界では、自然の生き物は、カムフラージュのような機能ディスプレイにその皮膚を使う。一般に、液体チャンバと筋肉を使って色を表示し、インク液滴のように色のついた液体を押し出す」(Sameh Tawfick)。

特にカメレオンは、様々な種類の色素の袋で満たされた色素胞という特殊な細胞を含む皮膚層を持っている。動物が、体温、あるいは気分の変化を経験すると、特定の色素胞が拡大、あるいは縮小し、皮膚の色変化が現れる。

Polytexisは、数㎜サイズの立方体ピクセルボックスでできており、各々が柔軟、高コントラストポリマでできたフィンを含んでいる。メカニカルポンプを使って、ピクセルボックス底の孔から鉱油液滴を分泌し、あるいは撤回(リトラクト)する。撤回により、キャピラリによりフィンが、面に対して水平になるまで引き下げられる。すると、それは毛細管接着により、パワーなしでこの位置に留まる。底が濡れたグラスカップがテーブルに張り付くのと同じ理由である。

「背景と比較してフィンの高コントラストのために、フィンの水平状態は、各ピクセルでON表示となる。それに対して、フィンは、非常に薄くて垂直の時は見えないので、OFF信号となる」(Tawfick)。

液滴の温度を変えると、光反射パタンに加えて、赤外パタンが形成され、光/赤外のマルチスペクトルシグナリングが可能になる。したがってデバイスは、同時に2つの信号を送ることができる、一つは人の眼で見えるが、もう1つは、赤外カメラでのみ見える。

研究チームは、これらピクセルボックスの3×3アレイを組み合わせて、マルチモーダルソフトディスプレイパネルを作っている。フィンのダークブルーカラーが、イエローの背景に対して可逆のON/OFFコントラストを作り、プロトタイプは、文字(e.g. UIUC)を形成できる。リフレッシュレートは、約1fps。つまりPolytexisの潜在的なアプリケーションは、ビルボード、スタジアムディスプレイ、列車やバスターミナルのサイン、ビルファサードなどのサイネージに限定される。

「われわれは、最小限のエネルギーで足りる全く新しい種類のディスプレイを開発した。ディスプレイはスケーラブルであり、湾曲面に設置できる柔軟性さえある」とTawfickは、説明している。