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蝶に触発された膜が鮮やかな色を生成、物体をパッシブ冷却

August, 9, 2023, Washington--暑い夏の日、他の色よりも白い色の衣類は、涼しく感じられる。これは太陽光を、吸収するのではなく反射するからである。
青や黒など他の色は、光を吸収すると加熱効果を受ける。色付き冷却フィルムでこの加熱効果を回避するために研究者は、蝶の翅のナノ構造からヒントを引き出した。

その新しいフィルムは、全く光を吸収しないので、ビル、車輌や装置の外側に使用して冷却に必要なエネルギーを低減することができる、同時に鮮やかな色特性も保持している。

「ビルでは、冷却と換気のために大量のエネルギーが使用されており、電気自動車のエアコン稼働は、走行距離を半分以下に減らす。われわれの冷却フィルムは、エネルギーの持続可能性、カーボンニュートラルの促進に役立てることができる」と中国、深圳大学、研究チームリーダー、Guo Ping Wangは話している。

Opticaで研究チームは、開発したフィルムが、有色物体を周辺温度よりも、2℃程度下げることを示した。屋外に一日中放置しておくと、そのフィルムのブルーバージョンは、従来のブルーの自動車ペイントよりも約26℃低い温度になることも確認した。これは、年に約1377 MJ/m2の省エネとなる。

「われわれの新しいフイルムで、優れた冷却性能が達成できる、どんな所望の色、彩度あるいは輝度でも構わない。それらは、高温で快適な、どんな色の衣類にもなる生地に使うことさえできる」(Wang)。

自然からヒントを得た
ブルー塗料の自動車がブルーに見えるのは、それがイエローの光を吸収し、ブルー光を反射するからである。吸収される大量の光が、自動車を加熱する。しかし、Morpho蝶は、その翅のナノ構造に基づいて高度に飽和したブルーカラーを生成する。冷却ナノフィルムの設計は、こうした構造を真似て、従来の塗料のように光を吸収しない鮮やかな色を作り出す。

研究チームのMorpho-インスパイアドナノフィルムを作るためにチームは、二酸化チタンと二酸化アルミニウムでできた多層材料の下に不規則材料(粗いすりガラス)を設置した。次に、この構造を全ての光を反射するシルバー層の上に置、こうして太陽放射の吸収と、その吸収に関連する加熱を防いだ。

フィルムの色は、その多層構造内のコンポーネントによる光の反射方法によって決まる。例えば、ブルーにするには、多層材料は、非常に狭い範囲の角度でイエローの光を反射するように設計し、同時に不規則構造が広い範囲でブルーの光を拡散する。

この種のパッシブフォトニック熱管理は、以前に達成されたことがあったが、それは白色または透明物体でのみ利用された。広い視野角と高いサイドの維持が難しいからである。

有色物体のパッシブクーリング
「われわれが開発した層構造により、パッシブク冷却法を無色物体から有色物体まで拡大することができた。同時に色パフォーマンスも維持している(Wang)。「言い方を換えると、われわれのブルーフィルムは、広い範囲の視野角でブルーに見え、全ての光を反射するので熱くならない。さらに、構造を最適化することで、高い彩度と輝度が達成できる」。

その新技術をテストするために、研究チームは、青、イエロー、無色のフィルムを作製し、深圳大学の屋外、屋根、自動車、布、携帯電話に冬と夏の両方で、9 a.m~4 p.m.まて設置した。温度計測に熱電対センサと赤外カメラを使用し、クーリングフィルムが、冬には、それらが設置されている表面よりも15℃低く、夏には約35℃低いことを確認した。

研究チームによると、シルバーフィルムでアルミニウム膜を置き換えると、そのフィルムは安価になり、電子ビーム蒸着やマグネトロンスパッタリングなどのスケーラブルな製法で製造できる。そのフィルムの冷却とカラー性能を実証したので研究チームは、機械的および化学的堅牢さなど、他の特性を研究し、最適化する予定である。