April, 22, 2022, Stanford--現在、CMOSセンサを搭載しているカメラは、2Dでしか見ることができず、絵を描くようなフラットな画像を捉えるだけである。
スタンフォード大学の研究者は、標準的な画像センサが光を3Dで見ることができる新たなアプローチを開発した。すなわち、これら普通のカメラが物体までの距離計測に使える。
エンジニアリングの可能性は劇的である。光による物体間の距離の計測は、現状では特殊で高価なLiDARシステムでしかできない。
「現状のLiDARは大きく、嵩張るが、いずれ、数100万の自律ドローンや軽量ロボット車輌に搭載されるようになる、非常に小さくて、エネルギー効率が優れ、高性能のものが欲しくなる」と、Nature Communicationsに、LiDARに使用できるコンパクトでエネルギー効率のよいデバイスを発表した論文の筆頭著者、OkanAtalarは説明している。
マシーンの見方を変更
標準センサに3Dイメージングを付加する1つのアプローチは、光源と変調器を追加することで達成される。これにより1秒に数100万回、光をON/OFFする。光の変化の計測で、エンジニアは距離を計算できる。それは既存の変調器もできるが、それらは比較的大きなエネルギーを必要とするので、非常に大きく、実際、日常利用には、それらは全く非実用的である。
Laboratory for Integrated Nano-Quantum Systems (LINQS) およびArbabianLab研究所と協力してスタンフォードチームが考案したソリューションは、音響共振として知られる現象に依拠している。チームは、2つの透明電極で覆ったリチウムナイオベート(LN)の薄いウエファを使ってシンプルな音響変調器を構築した。LNは、電気、音響および光学特性には極めて望ましい透明結晶である。
重要な点は、LNが圧電物質であること。すなわち、その電極から電気を印可すると、その原子構造の核で結晶格子は形を変える。それは、非常に高い、予測可能、制御可能な周波数で振動する。それが振動すると、LNは強く光を変調する。いくつかの偏光子を追加すると、この新しい変調器は、光を1秒に数100万回効果的にON/OFFする。
「さらに、ウエファと電極の形状が光変調の周波数を規定する。したがって、周波数を微調整することができる。形状を変えると、変調周波数を変えることができる」(Atalar)。
技術的には圧電効果は、結晶を通して音響波を作る、それが光の偏光を望ましく、調整可能、利用しやすく回転させる。それが、チームの成功を可能にしたカギとなる技術的な出発である。次に偏光フィルタを変調器の後に注意深く設置する。それが、この回転を強度変調に変える。つまり、光が明、暗に変化するので、光を1秒に数100万回、効果的にON/OFFする。
「光をON/OFFする他の方法はあるが、この音響アプローチは、エネルギー効率が非常に優れているので、望ましい」(Atalar)。
実用的な成果
取り分け、その変調器の設計はシンプルであり、日常利用の携帯電話やデジタルSLRsに搭載されている市販カメラを使う提案システムに組みこめる。Atalarと電気工学准教授、アドバイザー、プロジェクトのシニアオーサ、Amin Arbabianは、それが新しいタイプのコンパクト、ローコスト、省エネLiDARの基盤になると考えている。チームは、それを「標準CMOS LiDAR」と名付けている。ドローンや地球外ローバーや他のアプリケーションに用途がある。
提案した変調器のインパクトは膨大である。それは、どんなイメージセンサにも、欠如している3Dディメンションを付加することができる。それを証明するためにチームは、レセプタとして市販のデジタルカメラを使用するプロトタイプLiDARシステムをラボベンチに構築した。チームによると、そのプロトタイプは、メガピクセル解像度の奥行きマップを構築し、光変調器の動作に必要なパワーは小さかった。
さらに良いことには、改善を加えることで、エネルギー消費を論文に報告した低い閾値の1/10に減らせた。また、数100倍のエネルギー削減は、手が届くところにある。それが実現すると、標準画像センサ、3Dスマートフォンカメラの小規模LiDARの未来が現実になる。
(詳細は、https://news.stanford.edu)