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工芸愛好家と工芸家のための切断加工

ローリン・J ・ベルビル

 ここで紹介する企業はプラスチック、紙、木材などの非金属材料のレーザ切断で卓越している。レーザエクセル社の“ペーパーオーキッド”ブランドの製品は、独自のレーザ切断技術、熟練したデザインスタッフ、創造性にあふれた事業家の組合せによって発展した。精緻なエレガンスと新鮮な古典美でデザインされている各種の招待状、案内状、イベント備品などが相まって、さまざまな催事を完璧に演出し、その記念の品となる。この事業では“ふつうの招待状を素晴らしい招待状に変えるペーパーオーキッド”がモットーだ。 信じられないかもしれないが、レーザエクセル社(Laser Excel)の事業は“家族経営”ベーカリーへのレーザ切断ステンシルの供給から始まった。最初は、エアブラッシングで飾り付けをするケーキの全体に被せて使う直径が9インチと12インチの円形デザインの型紙であったが、その用途はケーキからカップケーキ、クッキー、さらにはすべての標準ベーカリーサイズの商品へと拡大した。同社はその後、ステンシルエア社(Stencil Aire)と呼ばれるようになったが、ジェフ・フランクリン氏が創業した1982年の時点では1台のレーザしか稼動していなかった。
 米国ウィスコンシン州グリーンレークに本社があるステンシルエア社は、1996年には14台のレーザが稼動するようになり、そのステンシルカットの事業はベーカリー以外へも拡大した。同社は、1980年代後半に模擬製品の仕上げ用途の需要がピークに達したことに気が付いた。模擬製品は塗料を用いて(例えば木材や羽目板のような外観への)仕上げを行う。この場合のステンシルは仕上げ用の道具として使われる。当時、同社のステンシル事業はすでに基盤が確立し、この分野の工芸家に対して大型(最大4×8フィート)のステンシルの切断加工を行うまでになっていた。
 しかし、同社はこの時点でアクリル看板業に参入し、マイラー樹脂ステンシル以外の加工へもレーザを使用するようになった。
 現在、同社にとっての最大の事業は店頭(POP)ディスプレイになっている。同社の営業部長を務めるロニ・マイボーム氏は「われわれは大量の看板を全米の企業や著名なブランド向けに加工している。レーザ切断された部材は看板に取り付けられ、メイシーズ(百貨店)やフィニッシュライン(自転車用品)など数多くの店頭で使われている」と語っている。
 最近では、有名なシューズメーカーから1000個のディスプレイ部品の切断というPOPプロジェクトを受注した。大企業からもこのような大量発注が舞い込むのだ。このような一括受注の加工には2〜3週間が必要になるが、納期は受注仕様、受注時の繁忙度、加工に必要なレーザの空き具合などによって変わる。
 同社はアクリル材料のPOPを迅速に加工作業できる能力を備えている。マイボーム氏は「看板の全体に使われる独自で複雑な部材を制作したいデザイナーは、レーザ切断によって最高品質の部材が作製できることを熟知している」と話している。アクリル看板はルーティング法でも切断できるが、この方法の短所は、レーザ加工に比べると、きれいに研磨されたラインを同一の品質で描くことができないため、後加工が必要になる点だ。同社が採用しているシステムのもう一つの利点として、複数のヘッドを同時に使用できることが挙げられる。1個のヘッドを使うルーティング法に比べると、レーザ切断は4個のヘッドを使うため、高速加工が可能になる。さらに同社は、看板の全ての部材を切断した後に、それぞれをターンキー動作によって一体化している。
 “ステンシルエア”から“レーザエクセル”への社名の変更は、ステンシルエア社がカリフォルニア州サンタローザのレーザワークス社を買収した2000年に実施された。レーザワークス社は写真フレームと紙製品を装飾するレーザ加工を行っていた会社だ。マイボーム氏は「われわれはレーザワークス買収をきっかけに紙製品の市場に参入した。現在はグリーティングカード、企業の各種レポート、包装紙などの紙製品/販促資材の事業が2番手の規模に成長している」と述べている。同社はペーパーオーキッド(Paper Orchid)というブランドで独自の文房具製品も事業化している。この事業にはレーザ切断でデザインされた文房具、招待状、挨拶状などのさまざまな製品が含まれている。
 現在のレーザエクセル社では、出力が80 〜 4000Wの23台のレーザを稼動させている。具体的には米コヒレント社製のM48-2が1台とDiamond K500が1台、米PRCレーザ社製のFH1500/2が3台、FH1500が4台、SL2200レーザが2台、OEI社製のApolloが2台とMD4000が7台、Preco Eagle500が3台だ。7 台のOEI社製MD4000は紙の切断だけに使われるが、これらのレーザの組合せによって、プラスチックを含むさまざまな材料の切断が行われている。
 レーザエクセル社の事業はペーパーオーキッドとステンシルカフェ(StencilCafe)ブランドの事業を含めて分割されている。ペーパーオーキッドとステンシルカフェの受注は他の顧客からの受注と同様に加工される。

デザイン会社との良好な関係

 レーザエクセル社にとって最も重要なことは、社外のデザイン会社と良好な関係にあることだ。同社は社内にデザイナーを抱えているが、プラスチック切断の事業を牽引している大企業と連携して作業しているのは外部のデザイン会社だ。マイボーム氏は「われわれの事業の多くは長期にわたるので、顧客を獲得し当社にレーザ加工を委託してくれる同一のデザイン会社との仕事を大事にしている」と説明した。
 レーザエクセル社には、プロジェクトを終始一貫して作業できる能力がある。マイボーム氏は、同社は“完全なるジョブショップ”として、レーザ加工ばかりでなく、スクリーン印刷、デジタルグラフィックス、収縮包装プラスチックや包装紙を含めたさまざまな加工を提供可能で、世界中のどこへでも出荷できる、と話している。

成長の余地

 レーザエクセル社が昨年末に積極的に開始した最も新しい事業には、象眼模様の木材加工とその注文デザインがある。そのレーザ装置には木材を数百個の木片に切断する能力があり、切断された木片は最終的にさまざまにデザインされた1枚のカラーパターンになって、家具や特注設計市場向けの製品に使われる。現在、同社は多数の大工と連携し、彼らを通じてこのアイデアをそれぞれの顧客に売り込もうとしている。木材とレーザを“試してみた”1人のレーザ技術者から始まったこの事業は、今のところ高い評価を受けている。マイボーグ氏は「たしかに木材象眼はわれわれのウエブサイトで最も検索される項目の一つだ。これはこの市場が成長することを示している」と語っている。

レーザエクセル社の最新の革新的な事業は、木材象眼工芸の特注製品の立ち上げだ。この事業は同社の成長分野になると期待されている。その高品質なデザイン部材はホームドクターや家具製造の市場に向けて供給される。写真の足台のように、製品は独自の特徴を備えている。

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