July, 22, 2015, Los Angels--UCLAカリフォルニアナノシステム研究所の研究チームは新たな成果で、多層二硫化モリブデン(MoS2)の電子発光を初めて実証した。これは、LEDsの新しい種類の材料に通じる発見である。
この研究は、化学/生物化学教授、Xiangfeng Duanをリーダーとする研究チームによる成果であり、Nature Communicationsに掲載された。
単層形状では、二硫化モリブデンは光学的にアクティブであり、電流の透過あるいは非破壊的レーザの照射により発光する。一方、多層二硫化モリブデンは、製造が容易で安価であるが、通常は発光しない。研究チームは、電流を通すと強い発光を示す多層二硫化モリブデンデバイスを初めて作製した。
「単層MoS2をベースに発光デバイスを垂直的にスタックしようとしたが、所望の効率を得ることは難しかった。一方、驚いたことに、多層MoS2でできた同様の垂直デバイスは、どういうわけか非常に強い発光を示した。多層MoS2は光学的に不活性であると一般に信じられていたので、これは全くの予想外であった。したがって、その基礎となるメカニズム、発光デバイスでの多層MoS2の潜在力を研究することになった」とDuan教授は説明している。
研究チームは、電場誘起エンハンスメントという技術を用いた。これは、電子を暗状態から発光状態に移動させ、それによって電子をフォトンに変換する材料の能力を高める。この技術により、多層MoS2半導体は、少なくとも単層と同等の効率になる。
研究チームは現在、このアプローチを二セレン化タングステン、二セレン化モリブデン、二硫化タングステンを含む同様の材料に適用し、安価で製造が容易な2D層材料から新しい世代の発光デバイス実現に役立てようとしている。