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NICT、大空間中の浮遊ウイルスを安全かつ高速に不活性化する深紫外LED大空間殺菌システムの開発

November, 25, 2025, 東京--情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所の井上振一郎 室長らの研究グループは、コンサートホール規模の大空間中の浮遊ウイルスを安全・高速に不活性化する深紫外LED大空間殺菌システムの開発に世界で初めて成功した。

研究グループは、高強度深紫外LEDの配光角を精密に制御することで、深紫外光を大型ホールの“上層空間のみ”に選択的に照射する技術を開発した。これにより、人への高い安全性を確保しながら、コンサートホール規模の大空間中の浮遊ウイルスを高速に不活性化するシステムの開発に成功した。
今回開発した深紫外LED大空間殺菌システムは、水銀ランプを使用した場合と比較し、浮遊ウイルス(ヒトコロナウイルス)の99.9%不活性化に要する時間の大幅な短縮(72%減)を達成した。また、このシステムは、実際に公共大型ホール(熊谷文化創造館さくらめいと 太陽のホール)に設置され、客席に人がいる状態でも安全に運用できることが確認された。

この成果は、深紫外LEDによる空間殺菌技術の安全性を飛躍的に高め、従来困難であった大規模コンサートホールのような大空間における浮遊ウイルスの高速殺菌と安全性の両立を実現したものである。空気中を浮遊するウイルスを介したエアロゾル感染の脅威から国民の安全と健康を守る画期的な技術になると期待される。

(詳細は、https://www.nict.go.jp)