February, 9, 2015, Berkely--バークリーラボ(Berkeley Lab)の研究チームは、原子、分子、半導体量子ドットからの自然発光を著しく強めるナノサイズの光アンテナを開発した。
この成果は、短距離光通信用のレーザに取って代わるLEDに道を開くものである。これにはマイクロチップ用の光インタコネクト、その他多くの潜在的アプリケーションが含まれる。
「レーザの発明以来、誘導放出の方を支持して自然発光は見下されてきた」とバークリーラボの材料科学部電気エンジニア、Eli Yablonovitch氏は言う。「しかし、適切なアンテナを使えば、自然放出は誘導放出よりも実際に速くなる」。
同氏は、カリフォルニア大学バークリー校の大学教員、米国国立科学財団E3Sのディレクタ。金製の外部アンテナを使ってInGaAsPの自然放出校を115倍に強めた。これは、誘導放出と自然放出との速度差の目印と考えられている200倍増に接近するものである。200倍増が達成されると、自然放出率は誘導放出のレートを上回ることになる。
「光アンテナを用いることで、2500倍以上の自然放出率強化は可能であると考えている。しかも、50%を超える自然放出率を維持している。マイクロチップの配線をアンテナに替えると、強化されたLEDsは相互接続性が一段と高速化し、計算能力が大幅に向上する」。
ハイテク技術の世界ではレーザは至る所にあり、高速光通信のトップに君臨する主力製品となっている。しかしレーザは、短距離通信では、たとえば1mやそれ以下では不都合な点がある。消費電力が大きすぎ、場所をとりすぎるなど。LEDは、はるかに効率的な代替品となるが、それは自然放出光という制約がある。
「分子サイズの放射体からの自然放出は、分子がそれ自身のアンテナとして機能するには小さすぎるために、何桁も遅くなる。この自然放出を高速化する決め手は、その放射分子を1/2波長のアンテナに結合することだ。120年前からラジオのアンテナを使っているが、どういう訳か、オプティクスのアンテナを見過ごしていた」とYablonovitch氏は言う。
この光アンテナに研究チームは、アーチアンテナ構成を採用した。方形のInGaAsPナノロッド表面を二酸化チタンでコーティングしてナノロッドと金ワイヤとの間に絶縁を作った。金ワイヤは、ナノロッドに垂直に堆積されてアンテナを形成する。InGaAsP半導体は自然放出光材料となるもので、すでに赤外レーザ通信やフォトディテクタで広く用いられている。
短距離通信アプリケーションだけでなく、光アンテナを持つLEDsはフォトディテクタにも使える。光アンテナはイメージング、バイオセンシング、データストレージアプリケーションにも適用できる。