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次世代LEDを強化する分子添加物

November, 10, 2023, Stanford--安価で製造が容易なタイプのLEDであるペロブスカイトLEDの材料構成を研究すことで、スタンフォード大学の研究者は輝度と効率の飛躍的な向上を達成したが、数分の使用で光が消えるのを目の当たりにした。

PCディスプレイは、一般にLED(発光ダイオード)のおかげで光っている。この広く普及している技術は、エネルギー効率の高い屋内照明、コンピュータモニタ、テレビ、スマートフォンの画面にますます利用されるようになっている。残念ながら、比較的手間と費用のかかる製造プロセスも必要である。

この欠点に対処するために、スタンフォード大学の研究者は、安価で製造が容易なペロブスカイトLED(PeLED)の輝度と効率を高める方法をテストした。しかし、その強化により、数分以内に光が消えてしまい、このクラスの材料を進化させるために、理解すべき慎重なトレードオフあることが示された。

「われわれは、劣化する理由の理解で、大きく前進した。問題は、効率を維持しながらそれを軽減する方法を見つけることである。それができれば、実行可能な商業的ソリューションに向けて本格的取組を始められる」と、電気工学助教授、Dan Congreveはコメントしている。同氏は、Device誌に掲載された論文の主任著者。

ペロブスカイトの有望性と落とし穴
簡単に言うと、LEDは、半導体に電流を流すことで、電気エネルギーを光に変換する。半導体とは、電界印加により発光する結晶性材料の層である。しかし、これらの半導体の製造は、白熱灯や蛍光灯などのエネルギー効率の低い照明に比べて複雑でコストがかかる。

「これらの材料の多くは、4インチのサファイア基板などの高価な表面で成長している。この基板を購入するだけでも数百ドルかかる」と、Congreveの研究室のPh.D学生、Sebastian Fernándezは、コメントしている。同氏は論文の筆頭著者。

PeLEDは、様々な元素の混合物で構成される金属ハロゲン化物として知られる半導体を使用する。エンジニアは、ガラス基板上にペロブスカイト結晶を成長させることができるため、通常のLEDと比較して大幅なコスト削減が可能になる。また、ペロブスカイトを溶液に溶かし、ガラスに「ペイント」して発光層を形成することもできるので、通常のLEDよりも簡単な製造プロセスである。

これらの利点により、エネルギー効率の高い屋内照明がより多くの建築環境で実現可能になり、エネルギー需要削減の可能性がある。PeLEDは、スマートフォンやテレビのディスプレイの色純度をシャープにすることもできる。「緑はより緑らしく、青はより青らしくなる。文字通り、デバイスからより多くの色を見ることができる」(Congreve)。

しかし、今日のほとんどのPeLEDは、わずか数時間で消える。また、ペロブスカイトの原子構造に欠陥と呼ばれるランダムなギャップがあるため、標準的なLEDsのエネルギー効率と一致しないことがよくある。「ここには原子があるはずだが、実際には存在しない。そこにエネルギーが入るが、光は出てこないので、デバイスの全体的効率が損なわれる」(Congreve)。

より明るく輝き、より速く衰える
これらの問題を軽減するために、Fernándezは、ミシシッピ州立大学の化学助教授で論文の共著者Congreve と Mahesh Gangishettが公開した技術に立脚した。ペロブスカイトのエネルギーを浪費するギャップの多くは、鉛原子があるべき場所に発生する。ペロブスカイトの鉛の30%を、そのギャップを埋めるのに役立つマンガン原子に置き換えることで、PeLEDの輝度を2倍以上、効率を約3倍に向上させ、ライトの寿命を1分未満から37分に延ばした。

また、この手法は、健康リスクに一石を投じる可能性を秘めている。「鉛は、この材料内の発光にとって極めて重要だが、同時に、鉛は有毒であることが知られている。人々は有毒な商用技術に懐疑的である。そのため、他の材料を検討するようになった」(Fernández)。
また、このタイプの鉛は水溶性であるため、ひびの入ったスマートフォンの画面から漏れる可能性がある。

しかし、Fernándezはさらに一歩進んで、TFPPOと呼ばれるホスフィンオキシドをペロブスカイトに混合した。「追加すると、効率が急上昇した」と同氏は話している。
この添加剤により、マンガンブーストのみの光よりも最大5倍のエネルギー効率が得られ、これまでに記録されたPeLEDの中で最高輝度の1つが引き出された。

しかし、その利点にはマイナス面もあった:照明はわずか2分半でピーク時の明るさの半分に消えた。(一方、TFPPOで処理されなかったペロブスカイトは、37分間明るさを維持したバージョンである。

トレードオフの理解
Fernándezは、TFPPOを備えたPeLEDの電気エネルギーの光への変換は、TFPPOのないものよりも時間の経過とともに効率が低下すると考えている。これは、主にPeLED内の電荷輸送に関連する障害の増加によるものである。また、TFPPOはペロブスカイトの原子構造で一部ギャップを埋めるものだが、すぐにそのギャップが開き、エネルギー効率と耐久性が低下する原因となることも示唆している。

今後、Fernándezは、様々なホスフィンオキシド添加物を試して、異なる効果が得られるかどうか、またその理由を確認したいと考えている。

「明らかに、この添加物は効率の点で信じられないほど素晴らしい。しかし、この材料を商業化するには、安定性への影響を抑える必要がある」とFernándezは話している。
(詳細は、https://news.stanford.edu)