November, 8, 2023, 東京--情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所の井上 振一郎 室長らの研究グループは、ナノ光構造技術により光の配光角を制御し、極めて高い指向性を有するオプティクスフリー深紫外LEDの開発に世界で初めて成功した。
今回開発した深紫外LEDでは、光学レンズを用いることなく、ナノ光構造技術とマイクロLED構造を組み合わせることで、放射される深紫外光の配光角を緻密に制御し、ビーム形状にコリメートできることを実証した。また、同構造は、深紫外LEDの光取出し効率の向上にも有効であり、配光角の制御機能だけでなく、その光出力を大幅に向上(約1.5倍)させる効果があることも明らかにした。
深紫外LEDは、空気中を浮遊するエアロゾル状のウイルスの不活性化や、太陽光による背景ノイズに邪魔をされない光無線通信用の光源等として期待されている。
研究成果は、高コストのレンズや光学部品を使用せずに、必要な箇所のみに高強度の深紫外光を効率的に照射することを可能にし、深紫外光の無駄な広がりを抑え、人体等に照射されるリスクを低減し、深紫外LEDの安全性、効率性、生産性を飛躍的に高める技術として期待される。
研究成果は、IOP Publishing(英国物理学会出版局)発行の学術論文誌「Journal of Physics D: Applied Physics」(電子版: 英国時間2023年10月31日(火))に掲載された。
(詳細は、https://www.nict.go.jp)